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JR東日本が進める「バス自動運転」変革の全貌 「運転手不足」「高齢化」への対策となるか

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  • 入江 洋 東日本旅客鉄道 モビリティ変革コンソーシアム事務局長
  • 原田 裕介 アーサー・ディ・リトル・ジャパン マネージングパートナー日本アジア代表
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2019年度の実証実験の概要。車両、センサー、通信、データ解析、自動制御など、参加企業がそれぞれ得意な技術やデバイスを提供し、システムを効率的に構築した(画像:モビリティ変革コンソーシアムFuture Mobility ワーキンググループ)

また、バス車内にカメラを設置して、走行中のお客さまの席の移動などをAIで検知し、遠隔で走行を監視しているオペレーターに車内の動きを自動通知する実証実験も行った。同時に、乗客の転倒などの事故を防止するため、走行中に車内を移動するお客さまを検知すると、音声にて注意喚起を行う機能の有用性も実証した。

また、あらかじめバス側にプログラムしたバスの走行ルートと実際の位置情報を照らし合わせて自動走行の確実性を高めた。

実証実験の期間中は、雨天や横風の強い日もあった。しかし、さまざまな状況下で全区間を通して目標走行軌跡に対して高い追従性で走行できることが確認された。路面の凹凸や風の影響もある中、車線維持制御ができていたと評価できる。また、各駅での正着制御も人による操縦と同等レベル以上であった。

交互通行制御では、対向バスの走行位置を検知して自動運転バスへの通行権を適切に付与し、対向バスとのすれ違いがある場合と無い場合のどちらにおいても正しい運転制御ができた。

国内初となるバス自動運転の社会実装が実現

以上により、BRTの自動運転に求められるさまざまな要素技術の検証を行ったが、どの試験でも、おおむね良好な検証結果を得ることができた。この結果がその後のJR東日本独自の自動運転バスの製作につながっている。2022年12月には、気仙沼BRTの一部で営業運転を開始。国内初めてとなるバス自動運転の社会実装が実現した。

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JR東日本として自動運転の技術をまったく持たない状態で、どのような形で実用化できるのかが見えない中での出発であったが、最終的に参加企業が協力し、自動運転という1つの複雑なシステムを実現できた。

新たな価値や成果を生み出せたのは、実証実験に参加した10社が業種を超えてオープンに協働し、イノベーションを生み出そうとしたからだ。

新型コロナウイルス禍や少子高齢化、気候変動問題などで、社会課題が顕在化している。これらを解決するには、幅広いプレーヤーと課題解決のためのビジョンを共有し、どのようにしたら課題が解決できるのかを社会や産業の仕組みの枠を超えて考え直す必要がある。

そのためには個社の取り組みをこえた新たな共創スタイルが不可欠。MICでは、多様な産業界や大学の研究室、スタートアップ、自治体・地域や周辺住民までを巻き込みながらさまざまな取り組みを進めた。

BRTの自動運転への取り組みは、次世代の公共交通のあり方を検討・推進する具体的なきっかけとなり、その先にある次世代のまちづくりのヒントになるものと考えている。

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