JR東日本が進める「バス自動運転」変革の全貌 「運転手不足」「高齢化」への対策となるか

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2019年度の気仙沼線BRTでの実証実験の様子(車両提供:ジェイテクト)。柳津駅~陸前横山駅間(宮城県登米市)の4.8kmを使用した(写真:JR東日本)

JR東日本は、2011年3月に起きた東日本大震災によって、鉄道システムが甚大な被害を受けた。

中でも気仙沼線の柳津駅と気仙沼駅の区間、大船渡線の気仙沼駅と盛駅の区間については、復旧までに多大な時間がかかると想定されたため、JR東日本がBRTによる復旧を提案し、沿線自治体の同意を受け、気仙沼線BRTは2012年から運行開始、大船渡線BRTは2013年から運行を開始した。

BRTの運行後、お客さまからは、運転本数を含む利便性などで好評をいただいている。

このBRTの自動運転化は可能なのか。運転者不足の課題を解決する可能性を検証するため、BRTの自動運転に必要な技術やサービスの検討と検証実験を進めた。

道路に設置した磁気マーカーでバスの位置を認識

同取り組みはMIC立ち上がり初期の2018年度から始まり、「Door to Door推進WG」の一環として、JR東日本管内の大船渡線BRTにおいてBRT専用道と小型バス(日野リエッセ[先進モビリティ提供])を用いた車線維持制御実験、速度制御実験、正着制御実験、交互通行実験などを行った。走行距離は約0.4km(片道)。最高速度は時速40kmで走行し、決められた位置で自動停止するなど、基本的な自動運転の技術実証を行った。

2019年度は実用化を視野に、より実運行場面に即した実証実験とした。場所はJR東日本管内の気仙沼線BRT。本格的な大型自動運転バス(日野ブルーリボンハイブリッド[ジェイテクト提供])を使用し、時速60kmでの高速自動走行を実現。車線維持制御、トンネル内走行、障害物検知、交互通行、車内モニタリングなどを実証した。

実証で用いた自動運転バスは、カメラやレーダーを使って自車位置を推定するのではなく、道路に設置した磁気マーカーを磁気センサーで読み取り、バスが自分の位置を認識する。磁気マーカーには一定の間隔で個体識別が可能なRFID(Radio Frequency Identification)付きを仕込み、推定した自車位置の信頼性を高める仕組みとした。バスの走行速度、交互通行における通行権情報、車載ジャイロセンサーなどから得られるデータを収集し、あらかじめ設定された走行パターンに沿って、アクセルやブレーキ、ハンドル操作など自動で運転を行う。

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