紙の本を読まないと、人は確実にバカになる 鈴木幸一×松本大「ネットの未来」を語る

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松本:日本は、金融機関は可用性というか、ATMを1秒でも止めちゃいけない、オンライン証券も場中は絶対止めちゃいけないというのが当たり前のようになっていますが、これはよくないですね。

鈴木:それともうひとつ提言というか、言っておきたいこと。今、本が売れませんね。でも僕は、本を読まなくなると、人間は本当にバカになる気がしますね。

松本:それは、そうですね。

液晶画面でものを考えることはできない

鈴木幸一(すずき こういち)●インターネットイニシアティブ(IIJ)会長兼CEO。1946年神奈川県生まれ。早稲田大学文学部卒。72年日本能率協会入社。82年に退社して日本アプライドリサーチ研究所設立。ベンチャー企業の育成指導、産業・経済の調査・研究等を行う。92年12月インターネットイニシアティブ企画設立

鈴木:紙を読まないといけません。僕は、どうも液晶画面でものを考えることができない。書くときはもちろん使いますし、マーケットなども画面で見ています。でも感性とか、思考という部分とつながらない。何だろうな。

松本:画面から得るものは、単発のインフォメーションなんですよ。やっぱりネット上のものってそうでしょう。それに対して、書籍というものはインテリジェンスだと思います。1個、1個はインフォメーションでも、それが束ねられていることで、インテリジェンスとして吸収できる。

鈴木:そうですね。あとはやっぱり人間、朝起きて、夜寝るべきだっていうのがある。24時間、同じような情報を得る環境というのは、人間にとってよくないとも思いますね。

それともう一つは言葉の問題ですね。英語は、言葉が日常とくっついているわけです。よく言うんだけど、server(サーバー)もsubscriber(サブスクライバ)もsupply(サプライ)も日常語ですからね。だから、サーバーが何をするのかという役割は、向こうの人は、感覚的にわかる。

その点で、日本は、大変ハンディキャップをもったレースをやっている感じがしますね。インターネットの世界におけるRouting(ルーティング)なんて、 要するにroute(ルート)を探せというだけ。ところが、日本だと経路探索と言われてしまう。これだと、ちょっと素人の人が入りにくいよね。

松本:鈴木さんは、今でも大きな理想を追っているんですか。最後、それを聞かせてください。

鈴木:スコット・マクニーリとこの間、飲んだときに話をしたんだけど、世界標準をつくりたいという思いが、まだある。例えば、SDN(Software Defined Networking)のようにソフトウェアだけで全部コントロールしてしまうようなネットワークを作りたい。これに向けて、今、やっていますよ。

(写真:梅谷秀司)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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