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「脱・経済成長」と気軽に言う人は正直ズレている 絶対的貧困層をどうやって救うつもりなのか

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――また、経済成長についてのあなたの考えを伺いたいです。例えば、気候変動に関しては、現在、主流の方向は「グリーン・ニューディール」と呼ばれるような施策による脱炭素化のようです。これは経済成長の促進を産業政策や新たな投資を通じて実現しようというもので、従来の枠組みの中に留まるものともいえます。

一方で、こうした方向性に懐疑的な人もいて「もはやこのような対策で対応できる状況を越えてしまっている」と主張しています。そして、経済成長に対する信奉そのものを見直す必要がある、と。こうした考え方についてはどう思われますか。

ブランコ・ミラノビッチ:私は、経済成長自体を考え直そう、とは思いません。

道徳と経済成長のトレードオフについては、『2035年の世界地図』の中でも言及しました。この道徳の不在を、成長に関する問題と捉える人もいます。もうひとつは、気候変動で、これは現実の問題です。

経済成長なしに、人々の貧困を軽減する方法はない

しかし、「脱成長」という考え方、つまり所得を増やすことの重要性を否定するという考え方が考慮に入れなければいけないのは、成長を続けない限り「全人口の約20%が絶対的貧困層になってしまう」ということです。

『2035年の世界地図――失われる民主主義 破裂する資本主義』(朝日新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

つまり、経済成長なしに、こうした人々の貧困を軽減する方法はないのです。

一つの代替策は、富裕層や富裕国から貧困層に資金を移転することです。しかし、この代替案では富裕国における所得を、一番上の人たちで50~60%削減する必要があります。ですから、政治的に絶対に不可能なのです。

今日、不況の議論をする際「所得が2%下がるかもしれない」というだけで、政治問題になります。ですから、所得を50%下げるなどということはあり得ません。脱成長について語る人たちは、単に算術上、経済成長を続けなければならないのだということに気づかなければなりません。

もちろん、生産単位あたりの炭素排出を現在と同程度、続けなければ経済成長はできない、というわけではありません。私は技術者でも専門家でもありませんが、技術革新を通じて、そして技術革新を導入するための政策誘導を通じて、経済成長と貧困の削減を両立し、炭素の排出を増やさずに気候変動を抑制することは可能だと信じています。分析的にも、経験的にも実現可能だと思います。

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