「経験もツテもなし」で海外大学に進学する秘訣 海外大学が日本人向けにする「ひっかけの質問」

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たとえば、ハーバード大学の「あなたはクラスメイトのためにどんな貢献ができますか」という問題でも、書かれてくるのは「○○○すればいいと思います」「○○○であるべきだと思います」ということばかりです。

「あなたは何をしますか」ときかれているのに、あるのは、「私たち」とか「世界」「社会」といったぼんやりしたものだけです。当然といえば当然です。自分の考えを主張することも、仲間と対立することもないからです。

そもそも日本語は主語がなくても通じる言語です。だから「○○○であるべきだと思います」と書くことができるのです。本来は「私は○○○だと思います」と書くべきなのに、主語をはっきりしないことで、「こういうことを書いたら正解だから○○○だと思うことにします」「先生が○○○だと思っています」の隠れ蓑にしてしまう。

インターネット上ではしばしば「それってあなたの感想ですよね」と振る舞う人がいますが、むしろ「あなたの感じたこと」こそが大切なのです。だから、ことあるごとに本気で意見が対立する機会や、それを乗り越えることで本当の多様性を理解できるような機会をつくっています。

アウェー体験があれば強くなれる

日本を変えるためには日本のなかにいるだけでは無理です。日本という社会のなかにいて、そこで教育を受け成長すれば、自然と日本の文化がしみついてしまいます。異質なモノの排除と忖度の文化です。日本を変えられるとしたら、広く日本の外の世界のことを知り、排除と忖度の文化をまとっていない、海外からの帰国者です。

わざわざ海外に行かなくても、インターネットを使っていくらでも交流できるでしょ、という人もいるでしょう。けれど、画面越しの交流と実際に住んでみるのとでは雲泥の差があります。住んでみてはじめてわかることもたくさんあります。驚きから、発想の幅が広がります。私は箕面から武蔵野に移るときにはじめて、大阪から東京に出てきましたが、同じ日本国内でもびっくりしたことは数えきれません。たとえば、歩いていてもだれとも目が合うことはありません。ゲームでたとえるとNPC(ノンプレーヤーキャラクター)です。大阪に比べると他人に興味がない人が多いことも強く感じました。

大切なのはアウェー体験です。家族や親しい友人から離れ、一人ぼっちでだれも知っている人のいない世界に飛び込んでいく体験です。それは人をたくましくします。紅白戦ばかりで、対外試合をしないと強くなれないのと同じです。慣れ親しんだところで快適に暮らし、その社会になじんでしまうと、社会を変えるメリットに気づきません。外に出てみないと、いまいる場所の欠点だけでなく、よさに気づくこともできません。変えるべきところと維持すべきところの見分けもつかないでしょう。他国の文化を知り、日本の文化を相対的に見ることができるようになれば、自国の文化への理解が深まります。

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