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明治「キシリッシュ」撤退の裏にあった戦略の失敗 ガムから事実上撤退、売上高はピークから9割減

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  • 鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表
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当時大人気だった俳優の東幹久さんと高岡早紀さんが出演したテレビCMでは「芸能人は歯がいのち」のキャッチコピーが流行語にもなったのです。この歯磨きのヒットの理由はアパガードの主要成分であるアパタイトが歯垢を取り除いたうえで歯を再石灰化してくれるという新機能をうたっていたことです。

ライオンや花王など業界大手の歯磨きが198円程度で売られていた時代に、アパガードは1000円もする歯磨きだったのにもかかわらず、大ヒット商品となりました。

明治がキシリトールに目をつけたのは、時代背景を考えると、間違いなくアパガードの成功に触発されたからだと思います。私の世代は、当時でいえば20代から30代の若者世代。その悩みとして「歯の見た目が汚い」のはそれなりに深刻な悩みで、歯を白くしてくれるというアパガードにあれだけの人気が集まったのもそれが理由ですし、同じことから虫歯を自然に予防してくれる明治のキシリッシュにも注目が集まったわけです。

広末涼子のCMが大人気に

そして明治のキシリッシュがスマッシュヒットした理由がもう1つあります。広末涼子のCMが大人気になったのです。ヒロスエといえば当時を代表する存在で、明治のキシリッシュのCMでは看護師のコスプレ姿を披露していました。

ちなみに今では誰でも知っているコスプレも当時はあまり知られてはいない言葉で、世の中にはコスプレをしている人などほとんど存在していませんでした。時代的には森高千里がファミレスの店員のコスプレをして、その後に広末涼子が看護師のコスプレをして、それを一般の視聴者が「なんかあれいいよな」と言い出していたような、そんな時代です。

さて、その当時、明治製菓の役員さんが暗い表情になった理由についてもお話しをしましょう。業界のガリバーに対して差異化戦略で戦うというのがチャレンジャー企業の戦略定石なのですが、それに対抗する業界リーダーの戦略定石が「同質化戦略」です。

敵と同じ商品を出せば、業界リーダーの立場から敵を潰すことができるという点で、業界大手は同質化戦略をつねに狙ってきます。そしてガムの業界リーダーであるロッテは1997年に同じ成分を用いたキシリトールガムを発売するのです。

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【明治の差異化が潰された】

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