パリ発スーパー「ビオセボン」日本で伸長のワケ 流通・小売りでオーガニックが注目されている

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野菜はオーガニックの「おいしさ」を訴求する重要な商品。一般スーパーとは違い、野菜の大きさや形はさまざまだ。サラダ野菜用の野菜詰め合わせは上陸当初からの人気商品という(撮影:風間仁一郎)

コロナ禍ではリモートワークなどで家で過ごす時間が増えたことや、外食の制限が続いたことなどから自炊をする人も増えた。食材の買い物もスーパー一択から、産地直送の通販、ネットスーパーなどの選択肢が増えた。ミールキットや冷凍野菜なども品ぞろえが広がり、食材にこだわり、手作り感を出しつつなおかつ手軽に調理ができるようになった。

このように食材調達の選択肢が増えた結果、食材への意識が1段階、引き上がったとは言えないだろうか。

スーパーに売られている食材を当たり前のように購入しているよりも、どこで、誰が、どのように生産されているかといった背景まで考えるようになったということだ。

「オーガニック」に付加価値を訴求

オーガニックスーパーが増えてオーガニックに対する環境的・精神的ハードルが低くなってきたところに、消費者の「いい食材を選びたい」という需要が追いついてきたわけだ。

そこへさらに、日本のオーガニック専門店に従来になかった付加価値を訴求したのがビオセボンだ。

象徴的なのが量り売りだ。ビオセボンでは量り売りのことを「バルクフーズ」と称するらしい。

同店の買い物体験を象徴する量り売りコーナー。日本では20gと少ない量から購入できるようアレンジされている(撮影:風間仁一郎)

海外のマルシェやスーパーでは一般的で、クッキーやパスタ、コーヒーなども量り売りされているというが、日本では珍しい販売形態。そのせいか「ガチャガチャ」のような見た目ともあいまって、非日常感を演出する小道具ともなっている。

量り売りコーナーに並ぶ商品は約60種類。好きなものを選び、ガチャガチャ風の什器のハンドルを回転させると中身が出てくるので、備え付けの紙袋で受ける。筆者はワインのお供になりそうな「ピスタチオレモンソルト」を購入。ハンドルを1回ひねると、20gぐらいになり、281円(税抜き)だった。

これなら「オーガニックは高い」とは誰も言わないだろう。

「量り売りは人気が高く、年に2回の特価フェアではスーツケースを持って買い物に来るお客様もいる」(今井氏)という。

筆者が試したピスタチオレモンソルトは、豆に味をつけているところがいかにも海外の食材と感じさせる。かといって濃すぎないところが、オーガニックであるゆえんだろうか。また実と皮が分離しにくかったり、切れ目が十分に入っていないものがあるのも、オーガニックだからなのかもしれない。

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