AIに負ける物書きと「利用して勝つ人」を分ける差 人間がなすべき仕事の内容が変わっていく

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昨年の夏ごろから、AIが絵画を制作し始めた。作品の出来栄えは、人間がいかなる指示を出すかによって変わる。

このため、制作作業の内容は、絵筆をふるうことでなく、AIに適切な指示を出すことになる。絵画を作るために必要とされる能力は、去年の夏ごろから急激に変化しつつあるのだ。

これと同じことが、文章の作成についても起こるだろう。

AIとの会話を通じて、新しいアイデアを得る

人間が行う仕事の内容が変わるだけではない。うまく使えば、これまでより大きな成果を得ることが可能になるかもしれない。

実際、以上で述べたことの応用対象は、文章を書くことだけではない。こうしたプロセスを通じて、新しいアイデアを得ることが考えられる。

そこで、実験を開始した。

手始めに、「読んでない新聞が山のようになって苦労しています。解決策はないでしょうか?」と質問してみた。最初は常識的な答えしか返ってこなかったのだが、何回か対話を繰り返すうちに、「電子クリッピングサービス」という手段があることを教えてくれた。

もっとも、この方法よりは、私がいま行っている方法のほうが効率的なので、実用にはならなかったのだが、いままで知らなかった方法を、比較的簡単に知ることができるとわかった。

ビジネスモデル開発といった問題でも、うまい質問をすることによって、新しいアイデアを引き出すことができるかもしれない。

これからのアイデア創出活動の核心は、AIに向かってどのような質問をするかになっていくだろう。

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野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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