老け顔になる?「歯ぎしり」注意したい7つの点 歯ぎしりには3つのタイプ、最新の治療法も伝授

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治療に頻繁に使われるのが歯のマウスピースです。これは歯の表面に柔らかいプラスティックを被せる方法なのですが、歯や顎へのダメージを軽くするのが狙いで、歯ぎしり・食いしばりそのものへの効果は期待できません。

口の中にマウスピースを装着するので、慣れるまで時間がかかる人も少なくありませんし、素材が柔らかい性質上、長期間の使用ですり減るので、定期的に新調する必要があります。

そこで最近、注目されている治療法が、噛み締める筋肉の力を弱める方法「ボツリヌストキシン注射治療」です。ボツリヌストキシンというタンパク質成分は筋肉の緊張を和らげる効果があるので、筋肉に注射することで筋肉の強さをコントロールして歯ぎしり・食いしばりの力を弱くします。歯や顎への負担が軽くなるだけでなく、筋肉の力も弱くなるので筋肉の肥大も徐々になくなり、顔つきも元に戻ります。

日本ではまだ聞きなれない治療法ですが、この薬剤は眼瞼痙攣(まぶたの痙攣)や斜頸(首の曲がり)にも使われ安全性は認められていますし、注射もとても細い針で刺すのでとくに苦痛はありません。

日本では歯科医師が頬に注射をする行為が一般的でないことや自費治療になることから、普及が遅れているのが現状です。

 虫歯や歯周病の治療で気を付けること

虫歯で保険治療した歯は強度が弱くなっているので、歯ぎしり・食いしばりから受けるダメージへの抵抗力は低下します。保険治療の制度上、治療内容や使用材料が限定され、歯の強度を保つ治療が難しいのです。容易に歯にヒビが入ったり欠けたり、割れたりする危険リスクが高くなります。

自費治療であれば制限がなくなるので、良質な治療内容を適切な素材で行うことができますから、歯の強さは保たれます。虫歯治療をする際には、自分に歯ぎしり・食いしばりの癖があるかどうかを歯科医師に確認してから、治療内容を相談することをオススメします。

また、歯ぎしり・食いしばりは、歯周病を一気に進行させます。歯周病で弱くなった歯茎へ容赦なく負担がかかるので、歯を支える骨が耐えきれなくなり、歯が抜けてしまいます。歯ぎしり・食いしばりの治療と歯周病治療を、併用して行うと悪化は防げます。

「たかが歯ぎしり・食いしばり」ではなく「されど歯ぎしり・食いしばり」と思って注意しましょう。

出典:日本顎関節症(日本顎関節学会編)。Ⅳ顎関節症と精神・心身医学的問題、3顎関節症と口腔習癖、異常機能習癖(特にブラキシズム)、305-316, 2003。永末書店(京都)。
宮本 日出 日本顎関節学会代議員・専門医・指導医

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みやもと ひずる / Hizuru Miyamoto

1965年、石川県金沢市生まれ。愛知学院大学歯学部卒業後、石川県立中央病院歯科口腔外科に勤務。1994年、豪アデレード大学歯学部で研修し、1996年から同大学歯学部口腔顎顔面外科招待研究員に。2000年から明海大学歯学部の教員に就任。2007年、幸町歯科口腔外科医院を開業。国内外に160篇以上の論文を発表している。著書に「お口からの感染予防」(ギャラクシーブックス)、「レモン水うがいダイエット」(あさ出版)

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