勉強の効果が上がらない人と抜群な人の決定的差 科学的に正しい、結果・成果を手にする勉強法

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結果は興味深いものでした。

Aグループの「まだ寄付したことのない人たち」については、達成分を強調された表現1のほうが、不足分が強調された表現2よりも約3倍多くの人が寄付をしました。

Bグループの「寄付の常連者」については、不足分を強調された表現2のほうが、達成分が強調された表現1よりも約8倍多くの人が寄付をしました。

A・Bグループでまったく逆の結果が出たのです。

目標達成への、段階別フォーカス

なぜ、こんな現象が起きたのでしょうか?

Aグループの立場に立ってみましょう。

彼らにとっては、「そもそも寄付するべきかどうか」(重要性)が悩みどころです。そこで役立つのが過去の実績です。自分以外の人が目標の半分も寄付している事実が動機づけになります。

一方、常連のBグループは、そんなことよりも自分たちが毎月がんばってきた寄付がまだ半分しか達成できていないことが問題です。そこでは、半分しか寄付されていない事実が奮起の材料になるのです。

研究チームは、実験を経て次のような方法を提案しています。

「コミットメントが高い目標を達成する場合は、まだ達成されていない不足部分に注目する」

「コミットメントが低い目標を達成する場合は、すでに達成されている進捗部分に注目する」

勉強で言えば、最初はコミットメントが低い状態です。何度もあきらめたくなります。

そこで勉強の初期段階は、とにかく「できた部分だけに」フォーカスすることです。

一度解けた問題でも解き直す、復習する、自分ができたことを日記につけていくなど。

逆に、勉強が進み、達成へのコミットメントが高まってきたら、「できない部分」にフォーカスしましょう。自分がギリギリ解けるレベルの応用問題に挑戦する、制限時間の厳しい模擬試験・模擬実習に挑む、先生や先輩から本音のフィードバックを受けるなど。

このようなメンタルトリックで、いつでもノった状態で学習ができます。

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