ドラマ好きが推す「カンテレ」攻めた作品が多い訳 直近は「エルピス」を放送し、SNSでも話題を呼ぶ

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他局のこれまでの一部事例を見ると、TBSは「ドラマストリーム」枠の「村井の恋」をParaviとU-NEXTで1週間先行配信、テレビ東京は「ドラマ25」枠の「先生のおとりよせ」をAmazon Prime Videoで数時間先行配信。

準キー局では、ABCテレビは深夜ドラマ「僕らのミクロな終末」を第1話放送と同時にFODで全8話配信、読売テレビは「失恋めし」を放送時期未定でAmazon Prime Video先行配信。各局がこうした深夜ドラマでの配信先行トライアルを、昨年ぐらいから行っている。

そうしたなかで、カンテレはこの1月期から「インフォーマ」をNetflixで先行配信。その1週間後に自局で放送する配信ファーストに踏み切った。

これまでの他局の動きと異なるのは、最大手グローバルプラットフォームの1つであるNetflixとの先行配信および世界配信という本格的な契約に踏み込んでいるところにある。

ネトフリにもカンテレ作品がランクイン

その結果、ここ最近のNetflixの視聴ランキングTOP10には、先行配信の「インフォーマ」、放送直後配信の「罠の戦争」、放送期間終了後配信の「エルピス」の3作が同時にランクインする週もあり、カンテレのプレゼンスとブランド価値を大いに高めている。

「配信事業者との付き合い方には、テレビ界のいろいろな軋轢があります。しかし、高い市場シェアを誇るグローバルプラットフォームでの先行配信は、踏み込んでいかないといけない。リーチを意識した出し方が他局さんとの戦略の違いとしてあります。カンテレのプロデューサーを含めたスタッフ全員が、放送はもちろん大事にしていますが、その後のストックコンテンツとして自分たちの作品がどう観られていくかをつねに意識しています」

業界内でもプラットフォームでの配信に積極的なカンテレだが、もちろんテレビ局として放送を第一にするスタンスは変わらない。そのなかで、配信で収益を上げるとともに、視聴者のリーチを広げ、なおかつブランド価値の向上につながる対応を目指している。

グローバルプラットフォームでの配信ファースト戦略は、社内での検証も踏まえながら対応していくというが、検証結果がどうであれ「配信戦略が以前に戻ることはない」と、小寺氏は前を見据えている。

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