ドラマ好きが推す「カンテレ」攻めた作品が多い訳 直近は「エルピス」を放送し、SNSでも話題を呼ぶ

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また、地上派で放送したドラマを、プラットフォームでも配信する、ということを考えたときに、地上波テレビ局には、暴力的なシーンや、性表現など、公共の電波を使う免許事業者であることの映像表現の制約や、会社としての厳しいコンプライアンスが、ハードルとしてある。

それはバラエティー番組でとくにいえることだが、ドラマにも当てはまる。プラットフォームの配信オリジナルドラマで「地上波では描けない」が宣伝の決まり文句になっていることでも視聴者には伝わるだろう。

小寺氏は「それは実際にあります。公共の電波を使用しているわけであり、スポンサーにご提供いただいていることも前提としてありますから、配信と同じく自由に制作できるかと言うとそうではありません」とドラマ制作の自由度として足かせになっていることを認める。

しかし、だからといってそれが配信ドラマと戦えないということにはならない。

「刺激がないと言われるかもしれませんが、許容されるなかの独自性で刺激は伝えられます」(小寺氏)

配信ドラマとどう戦うか

たとえドギツい映像表現がなかったとしても、その伝え方は1つではない。女性連続殺人事件を取り上げた「エルピス」はストーリー性と映画のような肌触りの映像、役者の演技で視聴者の感情を動かしている。

小寺氏は「いまテレビ局に求められるのは、リアルタイムの放送でも、ストックコンテンツとしても楽しまれるドラマ作り。そこでの指針は『ドラマ好きが楽しめるドラマ』『話題になるドラマ』『役者が出たいと思うドラマ』『配信オリジナルドラマと比較して遜色のないドラマ』の4つ。配信ドラマと同じ土俵で対等に戦えると考えています」と自信をにじませる。

さらにプラットフォームでの配信のタイミングという点では、キー局がドラマを自社系列や、グループ会社のプラットフォームで独占および先行配信するなか、カンテレはその垣根をさらに越えた全方位戦略を取る。

もちろん作品ごとに契約内容は異なるが、どのプラットフォームでもカンテレのドラマが観られる環境を目指している。

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