「タイタニック」25年後の今でも全然色褪せない訳 ジャック? ローズ? 本当の主人公は誰なのか

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キャストなど事前情報なく見始めれば、「トレジャーハンターのブロック・ロベットは、沈没したタイタニックの中から「碧洋のハート(ブルーダイヤモンド)」を見つけられるか?」というCQだと思いながら見ることになるだろう。

ではこのロベットは、ストーリーの中でどのような変化をしたのか。序盤、現代のローズが登場するシーンで、ロベットはテレビ番組の司会に「墓荒らし」的な批判を受けている。そう、ロベットはローズの話を聞くまで、タイタニックの悲劇を単なる過去の事故、自分の野心の対象とした考えていなかった。それが、ローズの話を聞いて、映画の最後には「俺は何もわかっていなかった」と言って、ダイヤを見つけたら吸おうと思っていた葉巻を海に投げ捨てる。タイタニック号の悲劇をリアルに知り、彼は改心したのだ。

戦争を題材にしたものなど、過去の回想で進んでいく物語においては、その話を聞いた現代側の人間がどう変化するかが重要な意味を持つ。その登場人物は、観客と同じ目線で物語が持つメッセージを受け取るのだ。

『タイタニック』の中で、事故当時の話を聞いて変化が描かれているのは、まさにロベットだ。つまり、墓あらし的な行為でトレジャーハントをしていたロベットという男が改心するお話というのが、『タイタニック』の第1階層と言える。

(現代ローズの話が第2階層、ローズとジャックのストーリーが第3階層となる)

『タイタニック』にはもう1つの幻のエンディングがあった

事実、ロベットの改心ストーリーが第1階層と言える根拠がある。それは、2005年に発売されたDVD版『タイタニック』に収録されている幻のエンディングと呼ばれる未公開シーンだ(「タイタニック もう1つのエンディング」で検索すると動画も見つかるはずだ)。

私たちが見た『タイタニック』では、ローズはラストに、1人こっそりと船の最後尾に立ち、密かに隠し持っていた「碧洋のハート(ブルーダイヤモンド)」を海に投げ捨てるが、実は当初の脚本はそうではなかった。

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