「タイタニック」25年後の今でも全然色褪せない訳 ジャック? ローズ? 本当の主人公は誰なのか
映画やドラマの内容を端的に表し、「何を期待してみればいいか」という話の軸を表したものをCQ(セントラル・クエスチョン)という。例えば『鬼滅の刃〜無限列車編』で言えば「果たして竈門炭治郎は無事に列車警護という任務を全うできるのか?」といった具合だ。
それでは『タイタニック』のCQは何だったのだろうか?
『タイタニック』は登場人物も多く、多層的に描かれる群像劇であるため、CQもいくつか考えられる。
タイタニックが沈没するということをわかっている前提で見れば、
①「はたして、ジャックとローズは沈みゆく豪華客船から無事に生き残ることができるだろうか?」
といったCQが挙げられるだろう。
あるいは、ジャックを物語の主体として考えた場合は、
②「はたしてジャックは一目惚れしたローズと結ばれることができるだろうか?」
ローズを主体として考えた場合は、
③「はたしてローズは望まない結婚から逃れることができるだろうか?」
となる。
ローズが主体、ジャックが主人公
実際、『タイタニック』はこれら3つのCQが絡み合ってできた物語なのだが、肝心なのはローズの語りで過去のストーリーが進行していくことだ。基本的にはローズが見たもの、聞いたものからストーリーが再現されているので、主体はローズという結論になる。
ちなみに私は主体と主人公は別であると考えていて、『タイタニック』はローズが主体、ジャックが主人公というのが正しい解釈だと考えている。それはシャーロック・ホームズが主人公、ワトソンが主体、あるいはドラえもんが主人公、のび太が主体と考えているのと同じだ。
私の中では「最も期待に応える人物」が主人公の定義である。だからこそ『ターミネーター』のように、敵対者が主人公になる場合もあるのだ。
『タイタニック』の場合も、構造としては、ローズがジャックと出会い、変化、成長していく物語だと言えるのである。
もう1人の主体が物語を解き明かすカギを握る
『タイタニック』の主体が誰かを考える時に、忘れてはいけない人物がもう1人いる。それがトレジャーハンターのブロック・ロベットだ。
映画のスタートを思い出してもらうと、あたかもロベットが主役のように、調査船のシーンから始まっている。
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