「幸福な人」「不幸せな人」付き合っている人の違い 実は双方のグループが交わらないという事実
そんな状況が最近は変わってしまったようですが、これは幸福学の観点からもいわば「黄色信号」。改善方法についてお話ししていく前に、まずは「青信号」の人間関係とは何なのかについてお話しします。
同じ友人と同じ話題を繰り返している現在の青年は、人間関係が固定化しかけている状態にあります。これが黄色信号であるとすると、そもそも、青信号の人間関係とはどのようなものなのでしょうか。私が博報堂と共同で行った研究が参考になると思います。
この研究では「人はつながると幸せなのか?」をテーマに、さまざまな地域で、調査対象者15,000人の「つながり」に関する7つの項目をまとめました。その内訳は、①人口密度、②同居家族数、③団体数、④つきあいのある親戚数、⑤友人の数、⑥親友の数、⑦Facebookの友人数です。
その結果をつながりの疎な人から密な人まで5~6グループに分類し、各グループのスコアを算出、比較したのです。その結果、同居家族や親友のような近くて深い人間関係よりも、つきあいのある親戚や友人など「幅広い人間関係」が人の幸せに寄与するようだとわかりました。このことは、地域の幸せだけでなく、個人の幸せを考えるうえでも重要な示唆を与えてくれます。
「似たもの同士」ばかりでつるんでいると…
ただし、単に友人の数を増やせば増やすほど幸福になるわけではない、という点に注意してください。大切なのは、あくまで多様な人間関係のなかに身を置くこと。友人づきあいというと、ついつい青年のように「似たもの同士」ばかりを選んでしまいがちですが、そうではなく、「自分にないもの」を持つ人と付き合うことを意識すべきなのです。私自身もそう心がけています。
私の友人には経営者や宗教家まで、幅広い仕事をしている方がいらっしゃいます。中には、まったく屈託のない笑顔で「僕ね、世界平和を目指しているんですよ!」などと語る人がいたりします。青年からは笑われてしまいそうですが、話していて本当に面白い。かつ、私にはないものを持っているという点で、とても刺激を受けています。そして、こういった人付き合いには、さらに大切な点があるのです。
ここで、エール大学のニコラス・クリスタキス教授による興味深い研究結果を紹介しましょう。クリスタキス教授はもともと、公衆衛生の研究者です。公衆衛生においては、昨今のコロナ禍を考えてもわかるように、さまざまなネットワークのなかで「うつる」経路を可視化しようとします。
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