ウイグル人監視カメラに「日本企業の部品」の衝撃 使用が判明したのは7社、人権侵害加担のおそれも

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そのうえで、同協会は日本企業7社に質問状を送付し、回答を求めた。だが、「マイクロン ジャパンを除く6社から回答を得たものの、販売代理店を通じて取引関係があることを確認したという1社(ローム)を除き、きちんとした調査を実施したとは思えない回答内容にとどまった」(日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長)という。

ハイクビジョン製の監視カメラ。内部を分解して調査したところ、日本企業の部品が相次いで見つかったという(写真:日本ウイグル協会)

東洋経済も7社に回答を求めたが、ロームは「日本ウイグル協会に回答した通りだ」と説明。ソニーグループやTDK、セイコーエプソン、旭化成エレクトロニクスの親会社である旭化成などはハイクビジョンとの関係について、「個別の取引については答えかねる」との回答にとどめた。

なお、ソニーグループは「人権を尊重し、関係法令も遵守している」とし、旭化成によれば「旭化成エレクトロニクスは旭化成グループ人権方針に則り、人権尊重に関し改善すべき事実があれば、速やかに適切な手段による是正措置を検討していく」という。

日本企業の回答は「きわめて不十分」

TDKは、「『TDKグループ人権ポリシー』に従い、サプライチェーン上の各種調査や監査、ステークホルダーとのコミュニケーションなどを実施している。その過程で人権に関して当社方針からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置を講じる」と回答。セイコーエプソンは「企業の社会的責任に関するセルフアセスメントを定期的に実施している」という。マイクロン ジャパンからは回答を得られなかった。

ロームは日本ウイグル協会に「ハイクビジョンとは直接の取引はないが、販売代理店を通じた製品供給の実績があることを確認している」と回答。そのうえで「当社部品が組み込まれた最終製品(監視カメラ)の購入者がどのような用途で使用しているかについては把握する方法がなく、認識していない」と述べている。

アフメット氏はこうした日本企業の回答内容は「きわめて不十分だ」と指摘する。そのうえで次のように語る。「ハイクビジョンは世界大手の監視カメラメーカーだ。代理店を通しているにせよ、日本企業と同社の間で数量などの条件を決めたうえで継続的に取引していることはほぼ間違いない」

ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子副理事長は、「日本企業は深刻な人権侵害に加担している重大性を認識すべきだ」と指摘している。

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