「誰も取り残さないUX」先進企業はこう実践する 難解な「本人確認フロー」が劇的に改善するまで
「アプリでかんたん本人確認」機能についても、当初は完了できない人が相次ぐ使いづらさがあったが、説明を読まない人向けに説明動画を入れるなど、機能改善を繰り返した結果、最終的には多くのユーザーがスムーズに完了できるようになった。
毎週水曜日を定期的なUXリサーチの日に設定し、希望すればどのチームもリサーチができる。専門チームがあるからこそ可能な体制だ。
「開発に関わるデザイナーがテストに同席することが多い。リサーチ後にチャットで議論が盛り上がることも」と、同社UXリサーチャーの松薗美帆氏はその効果を実感する。開発の各チームからは、すぐ「お客様に聞いてみよう」という話が出るという。
また、データサイエンティストがユーザーのアプリ内の行動ログを分析するチームもあるが、UXリサーチチームとの連携も緊密だ。「行動ログだけだとわからないことも、UXリサーチの結果と照らし合わせるとわかる場合が多い。両チームが手を組むことで互いのよさが出る」(松薗氏)。
誰もが情報を取得・確認できるサイトに
Webの「アクセシビリティー」に力を入れるのがヤフーだ。
Webアクセシビリティーとは、ユーザーの障害の有無や環境などにかかわらず、誰でもWebの情報を取得・確認できるようにすること。Webサイトの文章を読み上げる機能などがその代表例だ。
ヤフーでは2013年にWebアクセシビリティーの方針を対外的に公開し、全社的な取り組みに位置づけた。自社のUIガイドラインにも、Webアクセシビリティーの基準を設け、世界的なWeb標準化団体であるW3CのWCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)2.0の、レベルAに適合させた。
「ヤフーはあらゆる人が情報を自分の力で取得できることを目標にしている。そのためにアクセシビリティーに取り組む意義がある」と広告プロダクション本部デザイン部長の中野信氏は語る。
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