「誰も取り残さないUX」先進企業はこう実践する 難解な「本人確認フロー」が劇的に改善するまで

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メルペイは専門チームでUX改善(写真:会社提供)
すべての事業活動がデジタル化に向かう中、「苦手」や「丸投げ」ではもう済まされない。2月27日発売の『週刊東洋経済』では、「文系管理職のための失敗しないDX」を特集。システムやWeb、アプリの開発において管理職が知っておくべき「地雷ポイント」や、知識ゼロから着手できる「ノーコード」の活用法などを解説する。この記事は本特集内にも収録しています。
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UI/UXを考えたデザインはどこまで突き詰めればよいのか? メルペイとヤフーの先端事例を基に「本当のユーザー視点」について考えていきたい。

メルカリの子会社でスマートフォン決済サービスを手がけるメルペイは、「UXリサーチ」に力を入れる。

同社はUXリサーチを「ユーザーの体験について調べ、明らかにすること」と定義。自社サービスにとどまらず、ユーザーの日常生活を調査している。メルペイサービス開始前の2018年に、専門チームを立ち上げた。

「お客様を理解できていないと、わかりやすくよりよい体験はつくれない。価値観が多様化している中、お客様の考えを直接伺い人となりを理解する重要性は増している」と同社UXリサーチャーの草野孔希氏は設立の意義を説明する。

ユーザーがアプリなどを使う様子を観察するユーザビリティーテストやユーザーインタビューなど、調査手法は商品開発やマーケティング現場で行うことと違いはない。

テスト対象を「一度に数人」に絞る理由

特徴的なのは、リサーチと改善のサイクルの速さだ。

例えば「アプリでかんたん本人確認(eKYC)」機能の開発では、リリース前にこの機能に絞ったユーザビリティーテストとユーザーインタビューを行った。

ポイントは週1回、最大でも4人のユーザーにだけテストを行ったことだ。その結果を踏まえて機能を改善し、翌週に再び4人にテストする。このサイクルを14週連続で繰り返した。

一度に数人のユーザーしかテストしないのは、何十人にもテストをすると時間がかかり、開発の手が止まるから。当時、各社が競ってスマホ決済をリリースしていたので、開発の遅れは致命傷となる。早いときは、1人目の反応を見てその場でデザインを修正し、2人目に試したこともあった。

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