「誰も取り残さないUX」先進企業はこう実践する 難解な「本人確認フロー」が劇的に改善するまで
具体的な取り組みの1つが、色覚多様性への対応だ。「赤と緑の識別がしにくい」といった色覚に障害がある人にも情報が見やすいように、色だけで情報を分けない配慮をしている。
例えば「Yahoo!ファイナンス」アプリにおける株式チャートのローソク足は、かつて赤と緑で区別されていたが、色覚多様性を考慮して修正した。
21年に赤いブランドカラーのヤフーと緑のLINEが経営統合し、両ブランドが併存するページが生まれたが、その際も色覚多様性への対応を行った。併存ページを分析ツールで調べたり、色覚障害のある社員が目視でチェックしたりして、文字のコントラストや、動画の点滅などを改善した。
その一連の取り組みを公開したところ、同様のWebサービス関係者から反響が相次いだという。
研修にアクセシビリティーの項目
アクセシビリティーは、デザイナーやアートディレクターが具現化したいデザインと相反することがある。ただ、UIやコンテンツを設計する時点で考慮すれば、問題を早い段階で防ぎやすい。
そうした意識を醸成するために新入社員やデザイナーの研修にアクセシビリティーの項目を入れている。また色覚障害を疑似体験できる眼鏡などを使った社内外向けイベントを開催し、啓発にも努めている。
「ほかにも老眼体験眼鏡のように障害を体験できるキットを使い、視覚障害のある方の立場になってWebサービスを操作している。そうした疑似体験を通してアクセシビリティーの感覚をつかんでいる」(中野氏)
Webアクセシビリティーに関しては、障害者差別解消法が21年に改正され、障害者に対する合理的な配慮が民間企業にも義務化される。UI/UXという観点では、アクセス数や売り上げの拡大といった自社利益の追求だけでなく、多様性への配慮がより求められている。
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