しかし、このような子どもの質問に、親が真面目に意味を説明しようとすると、子どもからすれば、「してやったり」となります。子どもは、そもそも勉強の意味など知りたいとは思っていないため、仮に勉強の意味を聞いても、「自分はそうは思わない」「納得いかない」と言えばいいわけですから、勉強しない理由が立派に成立するわけです。
さらに、親が質問に明確に答えられないことを知っていて故意に聞いてくるケースもあります。このようにして、ますます自分が勉強をやらない理由を正当化できるようになります。
なぜこのようなことが推論できるかといえば次の理由によります。
例えば身近にあるゲーム。子どもたちはすぐに夢中になりますね。では、ゲームを自主的に前向きにやっている子は、ゲームをやる意味がわかったからやっているのでしょうか?ゲームをやる意味がわからないとゲームはやらないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。単純に子どもたちは、楽しいから、関心があるからやっているのであり、意味がわかったからやっているわけではありません。試しに、子どもに「ゲームをやる意味は?」と聞いてみるといいでしょう。彼らは「わからない。ただ楽しいからやっている」と答えると思います。
大人も子どもも「楽しそうだから始める」
子どもたちは、興味関心、楽しい、面白いという感覚が出てこなければ自主的、前向きに行動するようにはなりにくいものです。
子どもだけでなく、大人にも似たようなことが起こります。例えば、仕事。仕事の意味がわかったから仕事を始めたのではなく、楽しそうだから、興味が湧いたから始めたというのがほとんどの理由ではないでしょうか。
もちろん仕事の意味がわかることは大切ですが、始めの行動を駆り立てるモチベーションとはまた別のお話と考えたほうがいいかもしれません。
そもそも仕事を自主的にやっている人が、そのやっていることの意味を問うことはありますが、行動していない人がその意味を問うときは要注意ということと同様です。
さて、そこで、大塚さんのお子さんには次の手順で対応をしてみてください。
子どもは親から勉強のことを指示されたり、命令されたりすることを極度に嫌います。脅迫とは「勉強しないと困ることになるよ!」というものがそれにあたります。説得とは「今、しっかりやっておけば、後でラクになる」などです。「指示、命令、脅迫、説得」は事態が好転するどころか悪化することが少なくありません。
親子で勉強について話すことはなかなか難しいものですが、雑談的な内容であれば、上下関係なくフラットに話すことができます。そして会話数が多ければ多いほど、信頼関係が構築され、親子関係が深まります。
この親子関係が重要です。子どもが「親はうるさい人」と認識すると、仮に親が適切なことを話しても子どもにはまったく響きません。しかし、「親は理解者」と認識すると、子どもから悩みを相談することもありますし、親の提案に聞く耳を持つこともあります。
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