JR・大手私鉄、コロナ禍「人件費削減率」ランキング 運転費、線路保存費、償却費など項目別に調査
運転費の削減率が最も高かったのはJR九州の13.1%、次いでJR西日本の12.4%、JR東海の10.6%でJR勢が上位を占めた。私鉄各社はコロナ禍においても一定の運行を維持した一方で、JRは長距離の臨時列車を中心に運行本数を減らした。これが運転費の削減として表れた。
線路保存費の削減率が最も高かったのは西鉄の36.2%で、次いで京成の33.3%。ほかにも東武、近鉄、京阪、JR九州なども2割以上削減している。車両保存費の削減率が最も高かったのは京成の15.3%。次いで西鉄の14.4%、東武の13.3%となっている。一方で、車両保存費を増やしたのは前述のとおり相鉄。阪急も増やしている。
案内宣伝費は削りやすい?
案内宣伝費の削減率が最も高かったのは小田急の70.3%、次いで京成の65.3%、京急の59.7%、JR東海の45.9%、阪急の45.1%と並ぶ。ほかの項目と比べると、削減率が高めだ。業務が安全運行に直結する線路保存費や運転費と比べると削減しやすかったようだ。
一般管理費の削減率が最も高かったのはJR西日本の24.9%。2位以下は東京メトロ、JR四国、名鉄、JR東日本と続く。一方で、南海、東急、京阪は一般管理費を増やしている。会社間の経営判断の違いが大きく出たようだ。一方で、減価償却費は2020年度に増えた会社のほうが多い。償却スケジュールが決まっているため、臨機応変に変えるのが難しいためだ。
2023年度は旅客利用の回復が本格化し、収入の大幅増は間違いない。費用についてはコロナ禍の状況に戻すのか、それとも業務を見直したことで削減を維持するのか。各社の思案のしどころだ。
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