日高屋が中華そば390円を今でも守る確かな理由 他のメニューを上げても看板メニューは上げない

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中華そばの価格はオープン当初から変わらず据え置き(筆者撮影)

中華そば390円の歴史はこの日高屋とともにある。2002年の1号店オープン当初から390円。もっと言えば当時は税抜きだったが、2004年に税込み表示に切り替えて(当時の消費税率は5%)今に至るまで税込み390円を続けている。その間、消費税は2014年に8%、2019年に10%へと上がっているので、中華そばは実質値下げした価格を、今なお据え置いているのだ。

もちろんほかのメニューの価格を上げざるをえない状況にある中で、日高屋が中華そば390円を守り抜く理由は何か。東洋経済オンライン編集部の取材にハイデイ日高の経営企画部は、以下のように答えてくれた。

「『中華そば』は『日高屋』の看板メニューの1つとしてお客様に広くご愛顧いただいております。単品の価格を390円とすることで、手ごろな価格でお楽しみいただけるだけでなく、『生ビール』と『餃子』、『中華そば』を召し上がっていただいても1000円以内で満足していただきたいという、『日高屋』業態開始以来の想いを込めた価格設定でもあります」

生ビール、餃子、中華そばのセットは990円

実際、3月1日から、生ビール、餃子(6個)、中華そばのセットは990円で提供する。仕事帰りに夕食を兼ねて1杯ひっかけて帰路に着くビジネスパーソンを狙いすました価格設定といえる。

さまざまなコスト高が外食産業を覆う中、中華そば・税込み390円という看板メニューの価格だけは崩さないことで、「手軽に行きやすい外食店」というイメージを根付かせ、来店してもらい中華そば以外のメニューとの組み合わせによって収益を上げていくという狙いなのだろう。戦略的な価格設定といえる。

「日高屋」の中華そばは創業50周年の今でも、あっさりしていてノスタルジックな見た目と味わいだ。神田会長が目指しているのが“おふくろの味”。インパクトのある味のラーメンも良いが、時代を超えて愛される懐かしい味わいの一杯を貫く。商品開発の担当者には「おいしくしすぎないでね」と声を掛けているという。

1966年からロングヒットを続けるインスタント麺「サッポロ一番」を開発したサンヨー食品の前社長・井田毅氏も、その人気の秘密は「美味しすぎない味にある」という。 長く愛されるお店を時代を超えて続けていくには尖りすぎないことも大事だということを思い知らされる。

日高屋の看板メニュー「中華そば」(筆者撮影)
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