「認知症の親」から円滑に相続する"1つの方法" "もしも"に備えられる「家族信託」のすすめ
ところで、皆さんのお家では、火災保険を掛けていますよね。しかし、自宅が火災になる確率は、0.1%以下です。
また、車に自賠責以外の任意保険を掛けていますよね。死亡事故などの重大な自動車事故の確率もまた、0.1%以下です。
多くの方は、一生のうちで、火災も出さず、死亡事故も起こしません。しかし、年間何十万円もの保険を掛けています。それなのに、20%以上にもなろうという「法的な死」に対して何も対応をしていないのは、①家族信託②財産凍結について、社会全体が無知なのです。家族信託をしなければならないという常識に、社会がなっていないのです。
皆さんが、火災保険や自動車保険に加入するときには、熟慮などせず、常識のように思って加入された方がほとんどだと思います。
認知症になってしまったら通院より先にやるべきこと
認知症の薬の開発が進んでいますが、進行を3年程度遅らせることができる……つまり、治せないのです。認知症になってしまったら「財産凍結」となり、その後に薬を飲んでも役に立ちません。
それならば、認知症の保険に入ればいいじゃないかと思われるでしょう。確かに、認知症の保険は、月々の介護費用の支えにはなるでしょう。しかし、保険一時金は、100万円程度(最高で500万円)で、老人ホームへの入居一時金にも不足します。しかも、多くは要介護度2で支給されるので、初期認知症は要介護1の判定になってしまうので対応できません。
なぜかといえば、死亡保険金と異なり、認知症は極端な話をすれば、“仮病”が容易だからです。認知症になったら即! 何千万円の一時金が受けられる保険はありません。
さらに、認知症保険では、自宅を売ることについては、まったく無力です。信託銀行の認知症対応の預金も同様で、自宅は売れません。
でも、認知症にならなかったら「家族信託」に掛けた費用は無駄じゃないか、と思われますか? それは火災や自動車事故に遭わなかったら保険料が無駄になると考えるのと同じです。起きるかどうかわからないからリスクなのです。認知症になって、成年後見人を付けたら700万円前後かかるかもしれません。その分、遺産も減ってしまうよりは、親の介護のことも考えて「家族信託」の契約をするべきなのです。
そして認知症にならなくても、相続の準備ができてシンプル相続の道筋が立ちます。すなわち、「家族信託」をする過程で、中心的な財産である実家と入居一時金に充てるための親の預金などが把握できるのです。すると、実は芋づる式に他の財産もわかってきます。
まだ生きている親に聞けるのですから、相続のときに困る第一原因の「財産の明細」の大部分を明らかにすることが、親の介護の準備の安心を得つつできるのです。
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