「認知症の親」から円滑に相続する"1つの方法" "もしも"に備えられる「家族信託」のすすめ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここまで言っても、多くの方が踏み出しません。火災保険や自動車保険のように、社会的な常識になっていないので、左右を見て、「皆がやっていないから」と放置しているのです。まして、それに30万~100万円の費用がかかるので二の足を踏んでしまうのです。

それから、世の中の常識に反することを、もう一つ、誤解を恐れず申し上げます。

世の中では、「認知症が疑われたらお医者さんへ」となっていますが、違います。万一、認知症の診断などされたら最後、「財産凍結」なのです。だから、新しい常識はこうです。

「認知症が疑われたら、即、家族信託!」。それが最後のチャンスです。そして、家族信託が済んだら、そこではじめて「お医者さん」です。本当は、70歳を過ぎたら家族信託をしておくことです。若年性認知症ということもあるので、一刻も早い方がよいのです。

つまり「家族信託」とは何か

「家族信託」は信託銀行の信託とはまったくの別物です。

家族信託とは、子どもが親に代わって親の財産の管理や処分ができる契約です。もちろん、親の介護のためという目的に沿っていなければなりません。

子どもが行うので基本的に無報酬です。ですから、信じて託せる子どもがいないとできません。そういうケースでは信託銀行にお任せするのですが、当然相当な費用がかかるので、それは富裕層向けです。

それでも、簡単に「信じて託せる」とは言えないものですね。普通の仲良し家族であれば大丈夫です。その点は、お互いにチェックできるように契約書のなかで補えます。「子どもが信じられない」といっても、認知症になったら任せるしかないのです。

さて、遺言書を書いて、子どもたちに財産を渡すのは、亡くなった後のことです。家族信託は、亡くなる前に、財産の名義だけを子どもの名前に変えます。

「そんなことをしたら贈与税がかかる!」と心配されることでしょう。大丈夫です!

それは、親が子に任せて、任せた結果の利益は、親のものになるからです。つまり、子どもは、親の財産を預かって管理・運用・処分をするだけで、その結果の利益は親のものになるからです。

次ページ信託は、名義だけを付け替えてくれる法律制度
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事