さらに、今年開催されるラグビーワールドカップの結果についてChatGPTに聞いてみました。
先ほどの情緒的な文章を書いた「人物」ならもう少しウィットに富んだ返しをしてきそうなものですが、なんだかいきなりコンピューター感丸出しの回答が返ってきました。人間が向こう側にいるかのような信頼を置いてしまいがちですが、学習できなければこの有様なのです。
AIが最終的に行き着くのは「AGI」
ただ、今のこの状況をみてガッカリする必要はないと思います。実際メタのAIのトップであるヤン・ルカン氏など、AIの専門家の中にはChatGPTはまだ「途中段階だ」と指摘する人もいます。
同氏はAIの行き着く先はAGI(artificial general intelligence:汎用人工知能)つまり人工的な知性だと指摘します。ちなみにAGIとはなにかをChatGPTに聞いてみると「人間の知能に似た学習、推論、意思決定、問題解決をするシステムで、AGIを達成することが人類の歴史上のターニングポイントになるという考えもある」そうです。
誤解のないように願いたいのは、私自身AI半導体を作るテンストレントという企業で働いており、AIの将来には非常に大きな期待を持っています。AGIという、人間のように考え、その事実が正しいのかどうか判断できるAIが将来登場することも疑う余地のないことです。
ただそのためには人間の脳により近い学習モデルを作ったり、私の会社のようなハードウェア企業がより高性能なAI半導体をつくるなど、人間の脳を模倣できるようになるにはまだまだ越えねばならないハードルが多くあります。AIの世界は、まだ始まったばかりなのです。
一方で、われわれ人間も(このような言葉を使う日が来ようとは)、ネットで広がった知識やSNSで流行っている言い回しのコピペで自己表現をしている気になっていては、あまりChatGPTと変わり映えのしない人間と思われてしまいます。以前にも増して幅広い知識や懐疑的な態度、そして個性のある豊かな発想や、自己表現が求められているのではないでしょうか。
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