スシロー、社長の「ツイッター降臨」が意味する事 緊急事態こそ広報力・柔軟性が浮き彫りになる

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「スシローを救いたい」という動きと同時に、金髪少年や撮影者へのバッシングも激しさを増していく。金髪少年は実名、在籍する高校、中学の卒業アルバムの顔写真などがネットでさらされた。一部報道によると、この少年は高校を「自主退学」したという。「2月内に書類送検」とも報じられた。

そして、スシローは改めてプレスリリースを発表した。

「既に発覚している一連の事象に関係する方々への直接的な危害となるような言動はお控えていただくよう伏してお願い申し上げます」

スシローはひとまず難局を乗り切ったように見える。今回、スシローの広報はどのように上手だったのだろうか。

「社内にばかり目を向ける広報」では問題だ

ポイントの1つ目は「普段から広報が社外に向いているか」という点だ。今回、その表れの1つがプレスリリース発表のスピードだ。騒動発生から2日目には、プレスリリースを発表している。

スシローのような大企業になると、プレスリリースを出すのも「ひと苦労」だ。まず担当部門と広報が打ち合わせをし、文案を執筆。その文案を販売や法務といった関連部門のチェックも受ける。最後に社長など経営陣の確認を終え、ようやく「公開」となる。

過去に経団連会長を輩出した、ある「日本を代表する名門メーカー」ではプレスリリースに限らず、何らかの文書を公開するには、10を超える部門以上の印鑑が必要だという。

時間がかかるのは、なにもこのような「伝統的な大企業」に限らない。あるIT関連の上場ベンチャー企業でも、広報から現場に対して、「プレスリリースを出したい場合は、3週間前に広報に確認依頼するよう」に「社内ルール」を課している。社外に向けてプレスリリースを出すはずが、これでは「社内にばかり目が向いている」と言われても仕方がない。

なぜ、多くの大企業では「文書1通」公開するだけで、これほど時間を要するのだろうか。その原因を、私は「各担当者の責任回避マインド」にあると見ている。「何か問題が起きたとき、自分の責任を追及されたくない」。そんな心理が「大勢による確認」と、その結果として「公開の大幅遅れ」につながるのだろう。だが「世間の目」を考えれば、迅速な広報対応が必要なのは明らかだ。

その点、今回のスシローのプレスリリース発表は極めて迅速だった。「何か起こったときの社内での責任回避」ではなく、まさに「社外の目を第一に考えた広報」だったと言える。

次ページポイントの2つ目は「経営者に突破力があるか」
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