「ピカソ」没後50年の今、女性関係に批判高まる訳 芸術家の破天荒な行動は見逃されてきたが…

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時は世界中の才能あふれる芸術家たちがパリで制作にしのぎを削ったエコール・ド・パリの時代、活気に満ちていた芸術界にはシュザンヌ・ヴァラドン、タマラ・ド・レンピッカ、ソニア・ドローネー、タルシラ・ド・アマラルなどの先駆者たちが、パリの美術学校を通過し、芸術家として認められ、スタジオ、ギャラリー、出版社を所有した。

フランスで女性が自ら選ぶ権利を行使した最初の時代であり、美術学校の講座で裸体を表現したのは女性だった。同展の説明では彼らは自分たちに課せられたセクシュアリティによる伝統的義務を抜け出し、結婚するか否かを含め、体当たりで選択の自由を主張したフランスで最初の女性パイオニアだった。

ただ、彼女たちは巨匠の仲間には入らなかった。エコール・ド・パリの主役には、せいぜいマリー・ローランサンが入ったぐらいだった。フランスで女性参政権が認められたのは1945年だったことを考えると、女性芸術家たちの登場が社会を変えるまでに40年はかかったことになる。

女性の作品は圧倒的に数が少ない

2022年後半には、パリのガリエラ美術館で「フリーダ・カーロ、外見を超えて」展が開催され、今年3月まで開催されている。メキシコの画家として世界的に有名なカーロの作品だけでなく、生涯身に着けていたメキシコの民族衣装や障害のある体を支えるためのコルセットやギブスまで展示されている。

フェミニズム運動の視点では、パリのパレ・ド・トーキョーでスイスのフェミニスト現代画家、ミリアム・カーンの「私の連続思考」(5月14日まで)が開催中だ。ストリート・アートにも挑戦した彼女の大胆な表現作品は、今の時代に再評価されている。

ただ、筆者の友人で高額作品だけを扱うフランス人美術商のオードブラン氏は「女性の作品は紹介しないのではなく、そもそも圧倒的に数が少ない。一方で女性が美の対象として男性の権威に支配されてきた歴史は否定できないが、未成年者を性の対象とする作品、男性による強制的支配をうける女性をテーマにした作品は批判の対象になるだろう」と述べている。

安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)

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あべ まさのぶ / Masanobu Abe

パリを拠点にする国際ジャーナリスト。取材国は30か国を超える。日本で編集者、記者を経て渡仏。創立時の仏レンヌ大学大学院日仏経営センター顧問・講師。レンヌ国際ビジネススクールの講師を長年務め、異文化理解を講じる。日産、NECなど日系200社以上でグローバル人材育成を担当。

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