「ピカソ」没後50年の今、女性関係に批判高まる訳 芸術家の破天荒な行動は見逃されてきたが…

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昨年12月、ドイツのBBCといわれるドイツ国際公共放送のウェブサイトにインド出身のジャーナリスト兼編集者のマナシ・ゴパラクリシュナン氏が寄稿した論文が掲載された。その内容は、ピカソの病的ともいえる野獣のような女性支配欲は無視できず、女性蔑視、女性を侮辱する態度を続けたことを「有毒な男らしさ」として再評価が必要との主張だった。

2017年、ハリウッドの映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが数十年に及ぶセクシャルハラスメントで、ニューヨーク・タイムズ紙が告発記事を掲載したことから#MeToo運動は一気に世界的注目を集めた。セクハラ、性暴力への批判の矛先は今回、芸術界の巨匠にも及んだ。無論、ピカソを訴える被害者女性の告発があるわけではないが、研究者は高名な芸術家なだけにピカソの闇の部分を表に出そうとしている。

ピカソに翻弄された女性たち

ピカソの女性遍歴は激しい。彼の人生を飾ったフェルナンド・オリヴィエ、エヴァ・グエル、オルガ・コクローヴァ、マリー・テレーズ・ワルテル、ドラ・マール、フランソワーズ・ジロー、ジャクリーヌ・ロックのうち、正式に結婚したのは2人(オルガ・コクローヴァとジャクリーヌ・ロック)だけだった。

フランソワーズ・ジローはピカソとの間に2人の子どもを産みながらも、ピカソの性的虐待癖と浮気癖を嫌い、子どもを連れて出て行った。2番目の妻のジャクリーヌ・ロックはピカソの死後、ピカソの後を追うようにピストル自殺している。その他の女性たちもピカソに翻弄され、別れた後に悲惨な人生を送った。

ピカソの研究者たちの間では、作品だけではなく、その背景にある女性関係から作品を再文脈化する必要があると指摘する動きが近年、高まっている。ピカソはギリシャ神話上の首から上が雄牛で体が人間というミノタウロスを自分の分身として描いている。なかでも、1933年に描いた版画作品「女ケンタウロスを愛するミノタウロス」は有名だ。

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