平安時代もいた「オタク女子」凄まじい執念の実態 紫式部「源氏物語」に恋い焦がれた女の正体

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源氏物語の熱烈なファンの実像に迫ります(画像:Yutoka/PIXTA)
学校の授業では教えてもらえない名著の面白さに迫る連載『明日の仕事に役立つ 教養としての「名著」』(毎週木曜日配信)の第19回は、前回に引き続き紫式部が書いた『源氏物語』の熱烈なファンだった菅原孝標女の『更級日記』の面白さについて解説します。
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憧れの都会生活のはずが、着いたのは荒れた家

「『源氏物語』のうわさを聞いて、あまりの読みたさに自分と同じ背丈くらいの仏を彫ってしまった」という衝撃の行動を平安時代にとっていた、元祖オタク女子こと菅原孝標女。彼女の日記『更級日記』は、平安時代の貴族の娘の日記にもかかわらず、恋愛の話はほぼ出てこない。代わりに何が記されているかといえば、少女時代は「とにかく物語が読みたい」と願っていた話である。

父の仕事の都合で関東に住んでいた彼女は、京都へ引っ越すことになる。

憧れの都会生活! 都会に行けば、きっと物語も読めるはず!

そう胸を高鳴らせ、長旅をどうにかこうにか彼女は乗り越える。関東から関西への旅路はずいぶん遠く、大変なものだったらしい。その末に辿り着いた「都会の自宅」は――なんだか荒れた家でがっかりした、と彼女は『更級日記』に記している。

次ページミッションは物語を手に入れること
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