経済安全保障について「強く意識している」企業は前年より12.7%増加し、74.7%に達した。また役員会などで経済安全保障が「よく議論される」企業もおよそ半数に達した(前年比14.3%増)。今年のアンケートでは推進法施行前と施行後の対応について質問したが、9割近い企業は推進法施行前から取り組みを開始しており、最も多かった取り組みも昨年同様、情報管理の強化(72.9%)、サプライヤーの変更・多元化(50%)、投資計画の変更(25.7%)の順となった。
今年、新たに設けたサプライチェーンの強靭化についての設問では、8割の企業が強靭化に取り組んでいることがわかった。そのために最優先されるのは、サプライヤーの変更や多元化(80%)、国際情勢に関する情報収集(63.6%)、(国内を含む)適切な情報の取得(52.7%)と続き、生産拠点の移管等まで踏み込んだ企業も29.1%に達している。
半導体やEV(電動車)バッテリーなどの先端技術をめぐる米中の競争は激化しており、アメリカは自由や民主主義、人権を尊重する同志国に対し、中国とのデカップル(切り離し)を一層明確に迫っている。EUや韓国はアメリカの国内生産回帰要求に対し、保護主義的との批判を強めているが、日本企業はアメリカ市場における売り上げを増やしており、アメリカにおける売上比率「3-5割」の企業が8.1%から16.2%に増え、「1-3割」の企業との合計が7.8%増加している。ただしアメリカでの売上比率の中長期目標を「増やす目標がある」企業は微増の42.4%にとどまった。
セキュリティー・クリアランス制度の導入は喫緊の課題
現在議論されているセキュリティー・クリアランスとは、政府職員のみならず企業等の民間人を含め、機密情報等に触れることができる関係者を審査のうえで取扱資格を付与する制度であり、これにより、例えば最先端技術についてセキュリティー・クリアランス保持を要件とするような海外との共同研究開発が可能になるメリットがあるとされる。
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