【国内患者20万以上】「潰瘍性大腸炎」治療の未来 【持病を生きる】20万人もいるのに「指定難病」

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佐々木「テロメア」については、海外でも国内でも盛んに研究が進んでいると聞いています。私が知っている事例で言うと、「AIMOファーマ」というバイオベンチャーも「テロメア伸長剤」の創薬に挑戦しています。

潰瘍性大腸炎は、従来の治療ですと、いつ炎症が再発するかわからず、発症したら、また絶食とステロイド投薬の繰り返し。完治が見えないところが非常にストレスなんですが、「テロメア」を伸ばすことで細胞自体が治癒すれば、根本的な解決が期待できる

これまで潰瘍性大腸炎と20年付き合ってきましたが、「一筋の光」が見えた思いです。潰瘍性大腸炎以外の分野でも、「テロメア」を伸ばすことで細胞を治療する創薬は世界で研究されているようで、発展を期待したい技術です。

産学連携で「テロメア」の研究は加速している

佐々木:筑波大学では、「テロメア」のどんな研究が進んでいるんですか?

土屋:潰瘍性大腸炎のモデルに、「テロメア」を伸ばすようなお薬を使ってあげると、さっき言った「粘液をたくさん出すような細胞」が増えるんですね。それを大腸の上皮細胞に投与します。

たしかに「テロメア」を伸ばす効果を持つ成分を含む薬を使うと、潰瘍性大腸炎のような傷んだ細胞をよくする現象が見られました。

でも、では「それが本当に『テロメア』に由来するのか」「他の薬の効果も併せてなのか」ここは、まだハッキリとしない部分はあります。

ただ、病理の先生には「正常に戻った」と言ってもらえるようになりつつある。あくまで実験レベルなんですが。

東京と筑波の二拠点生活で研究に臨む、土屋教授(写真:梁川剛)
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