【国内患者20万以上】「潰瘍性大腸炎」治療の未来 【持病を生きる】20万人もいるのに「指定難病」
佐々木:僕の場合は、幸いなことに、潰瘍性大腸炎を発症したのが20年前で、お医者さんに通うしか方法がなかった。公言するような雰囲気でなかったし、隠者のように病院に通って治療にあたりました。自分であれこれ判断せず、すぐに通院したのが幸いしたのかもしれません。
もちろん、ネットでいろいろ調べたことはありますよ。2010年くらいからかな。でも、著名なメディアに載っていることでさえ、何を信じていいかわからなかった。ガンなんかもそうかもしれませんが、「病院で言われること」より「極端な民間療法」を信じてしまい、病状を悪化させてしまうようなケースを聞くと、胸が痛みます。
「標準医療」がもたらす「誤解」が危ない
土屋:ネットなどの情報を鵜吞みにして通院の間隔が空いてしまう患者さんは、残念ですが、一定数います。そうやって治療のレールから外れてしまった患者さんを元に戻すためにも、我々医師の側も「情報発信力」を高めないといけませんね。
佐々木:「標準医療」って言葉があるじゃないですか。あの言葉がよくないんじゃないかという指摘もあります。
スティーブ・ジョブズなどが有名ですが、「富裕層の人は『標準医療』じゃない『何か特別なお金持ち向けの医療』がある」と勘違いしている人が多くて。
そういう世界を信じてしまい、ガンになっても放射線治療などを受けずに、「特殊な民間療法」にハマってしまったりする。それも高額で効果が喧伝されているようなものではないことが大半でしょう。
本来、「標準医療」というのは、「平凡な一般人向けの医療」という意味ではなくて、「現時点で科学的に最善な方法」と考えられておよそ間違いのないものですよね。そこの「認識のズレ」が、医学会と一般社会の間にあるように思えてなりません。
土屋:我々の感覚からすると、「標準医療」というのは「いくつかの治療法があって、その中で今の患者さんに合っているもの」ということだと思うんです。
潰瘍性大腸炎でいうと、まだその検査で、どのお薬を使うのがよいか、教科書的に定まっていない面もあります。そこはこれから煮詰めていかなくてはなりませんね。