「中学受験に挑んだ子」にかけてはいけない言葉 親の言葉は「ウイルス」にもなりかねない

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これを私の働いている小児医療の現場では「言葉のウイルス」と親御さんに話すことがあります。

もしかするとその子は高校受験だってやっていけたかもしれないですし、勉強以外で力を発揮することがあったかもしれません。しかし、否定的な言葉をかけられた子どものほうは言葉が刷り込みになり「ああ、私はできない子なんだ」という思いで育ちますできていたかもしれないことがあったとしても、「できない子」という言葉が植え付けられてしまうのです。

ですから、中学受験を考えるときは、お子さんに対しての気持ちを整理する必要があります。ここはすごく大切なことで、受験をする目的が親御さんの不安な気持ちから始まっている場合は少し切り替える必要があると思います。

中学受験をして入る中学は6年間の一貫教育の学校が多いため、ゆったり過ごせるという利点はもちろんあるものの、不安から始める受験は子どもの心にウイルスという負債を残して終わることになりかねません

社会人になってメンタルケアが必要になった人のカウンセリングをすることがありますが、子どものころに植え付けられた「言葉のウイルス」をそのまま引きずってしまい、「自分はできない人間だ」という思いが強くある人が結構います。

子どものころの親からの言葉は呪文のように残ります。特に、苦手な場面や対人関係がうまくいかなくなったときに、その言葉は浮かんできやすくなります。大人になってからのレジリエンス力は子どものころに養われるのです。

「言葉のウイルス」を植え付けないためには、否定的な言葉で始めるのではなく、ポジティブな言葉で導いてあげる必要があります。「あなたは高校入試ではムリだから」ではなく、「あなたには中学入試が向いていると思う」というように、前向きな言葉かけで始めてあげてください

成長の進度はそれぞれ違う

――時々、受験勉強の最中に髪を抜いてしまう症状や、頭痛や腹痛などが出るお子さんがいます。それでも、「受験させてください」と頼むお子さんもいます。親としてはどうしたらよいのでしょうか?

中学受験をすること自体に対して良い悪いはないと思っています。受験に向いているお子さんというのもいますから、そういうお子さんはぜひ受験をして望む学校に行ってもらいたいと思います。

よく聞かれるのは親御さんが「中学受験やめてもいいよ」と話したのに「『やめたくない』と本人が言うんです」と言われるケースです。でもこれは、親の表情の問題もあります。その言葉を発した親の表情が険しい顔だったりすると、子どもは敏感にその雰囲気を察知して、「やめる」と言えなくなることがあります。

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