「レジ待ちでイラッ」がなくなる、シンプル思考法 モヤモヤ・イライラの根本原因は「焦り」だった

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不安ちゃん
出典:『不安ちゃんの正体』(イラスト:寺崎愛)

結局のところ、あれこれ考えて並ぶ場所を吟味しても、どこのレジが早いのかは誰にもわからないのです。そこに捉われていては、いつまでも不安ちゃんが姿を変えた「焦りちゃん」があなたの心に住み続けることになります。レジに並んでイラつかない方法は、とってもシンプルなことです。自分の無意識に潜んでいる決めつけを自覚することです。

モヤモヤしたり、イライラしたりするのは、自分の決めつけが作り出していると知ることで、状況を客観的に見ることができるようになります。余計なことを考えて、レジで気疲れするようなこともなくなるでしょう。

何事も途中でやる気が失せてしまう

仕事でも遊びでも、計画を立てているときは張り切っているのに、いざ実行となると楽しくなくなり、やる気が失せてしまう。そんな不安ちゃんを抱えている人もいるようです。

Kさんは、体調を崩したことで、私のクリニックに相談に来られました。会社の企画会議でいいアイデアを提案できる力はあるのに、いざ案が採用されると途中から自分で動くのが嫌になり、チームからできるだけ遠ざかりたくなってしまうのだとKさんは言います。その結果、企画そのものが実現しないこともあるのだとか。

当然、Kさんの態度に周囲の士気も下がってしまいますし、Kさんが提案しても「口ばかりで実行しないだろう」と、考えるようになっていきました。もちろん、Kさん自身もこれではいけないと、気持ちを入れ替えようとするのですが、結局、同じことの繰り返しになってしまうのです。うまく気持ちを立て直せない自分へのストレスもあり、それが体にも影響を与えていたのです。

なぜ、Kさんはこのような状況になってしまうのでしょうか。お話をうかがってみると、Kさん自身が自分に対して不信感を持っていることがわかりました。「自分がやることは、どうせうまくいかない」「アイデアを出しても、成功するはずがない」という、不安ちゃんに捉われていたのです。

また、Kさんのお話から、自分に対して否定的になってしまう原因は、小さな頃の体験にあることがわかりました。

知らない町に旅行に行ったとき、デパートで迷子になり、迷子センターの係員に一生懸命に自分のことを説明してもまったく理解されず、お母さんが迷子センターに探しにやってきて、すべてが解決したのだそうです。

大人にしてみれば、無事にお母さんと会えてよかったという話ですが、当のKさんにしてみると、この出来事で自分の無力感を感じ、それ以来、「自分は何もできないのだ」という思い込みを引きずっていたのです。

Kさんはカウンセリングを通して、自分の中の不安ちゃんの存在に気づくことができました。仕事の途中でやる気が失せてしまう原因が、幼い頃の忘れられないような体験に基づくものだとわかってからは、生きていくことが楽になったと言います。

Kさんのように幼少期に無力感を抱くような経験をした方は多くいます。もしあなたが、Kさんと同じでなくても現状に何かモヤモヤを感じているとしたら、その原因は、幼少期の経験にあるのかもしれません。

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