「レジ待ちでイラッ」がなくなる、シンプル思考法 モヤモヤ・イライラの根本原因は「焦り」だった

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同じ買い物でも、ほしかったものを手に入れる買い物ではなく、外出先などで見かけたものを、衝動的に「つい買ってしまう」という買い物もあります。「このバッグ、可愛いな」「今はこういうシャツが流行っているんだ……」「これ、セール価格ですごく得だな」などと、その瞬間は「ほしい!」と思って買うのですが、自宅に持ち帰り、品物を袋から出しながら「なんで、買っちゃったのかな」という気分になる。誰でも一度や二度は、こうした衝動買いの経験があるのではないでしょうか。

金融関係の会社に勤めるMさんは、30代の女性です。

体調不良のご相談でクリニックにいらっしゃったのですが、カウンセリングの中で、「最近、衝動買いが増えてどんどんお金を使ってしまうんです」というお話が出てきました。

Mさんは、職場に不満はなく、仕事が楽しいと言います。ただ、時折イライラやモヤモヤを感じることがあり、そういう気持ちになると、つい衝動的に買い物をしてしまうのだそうです買い物をした直後はすっきりして、なんとなくストレスを発散できたように感じます。

でも、本当にストレスが消えたのなら、衝動買いを繰り返すことはなくなるはずです。少なくとも、一度衝動買いをしたらしばらくは止まりそうです。しかしそうならないのは、買い物をする行為では、ストレスを根本からなくすことができないからです。

Mさんの場合、「部長にもっと認められたい」「だからもっと仕事を頑張らねばならない」と自分に高いハードルを課す一方で、「こんな私が認められるはずない」「私なんて、頑張ってもどうせできない」と、それを否定する自分もいて、その矛盾が大きなストレスを生み出していました。一見すると何の問題もなく仕事をしているようなMさんですが、実際は、彼女の中には強力な不安ちゃんがいたのです。

不安ちゃん
出典:『不安ちゃんの正体』(イラスト:寺崎愛)

不安を抱くと何かに頼りたくなる

不安ちゃんの正体
『不安ちゃんの正体』(自由国民社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

自分に対する自信が持てず、不信や不安を抱いていると、人はそれから逃れようと、何かに頼りたくなります。Mさんは人に頼るのではなく、買い物をするという行為によって、不安から一時的に逃れようとしていたために、衝動買いを続けることになっていました。

衝動買いを止めるには、買い物をしてしまう自分と向き合ってみることが大切です。自分が気づかないうちにストレスを抱えていて、それが衝動買いという現象に現れます。もしかしたら衝動買い以外でも、お菓子を食べ過ぎたり、お酒を飲みすぎたりすることで、あなたの体に負担をかけているかもしれません。

あなたのストレスは、どこからきているのでしょう? イライラやモヤモヤを引き起こしている、不安ちゃんの存在に目を向けることが大事です。

岩田 千佳 内科医・心身医学専門医・産業医・nClinic院長

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いわた ちか / Chika Iwata

北海道生まれ。東京女子医科大学卒業後、同大学病院の糖尿病センターに入局。北海道釧路保健所に勤務後、高齢者医療、ホスピスケア、認知症医療にも従事する。医療に携わりながらも現代医療に補完できる“何か”があるように思い、自身も自然食品などで食事にも気を遣い、西洋医療に留まらない全体性を持てる医療を目指している。2019年5月にnClinicを東京の神田神保町に開業。一般内科、ストレスマネージメント、認識のコンサルテーション、生活習慣診断などを行う。現在は、日本心身医学会の専門医として「ストレスと疾患の関係の研究と治療」に携わりながら、「真に健康な状態」とはどのような状態であるかについて研究を行っている。

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