トラブル頻発でカンタス航空の「安全神話」に陰り 経費削減で大きな利益を生み出すCEOに非難集中

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オーストラリアのカンタス航空の安全性実績は、ハリウッド映画で取り上げられたことで有名になったが、今度は相次ぐ機器の誤作動で注目を浴びている。

カンタスは先週半ば以来、一連の飛行中のトラブルに見舞われている。オークランドからシドニーに向かう便でエンジンが停止し、遭難信号を発信する事態になったのを皮切りに、その後少なくとも4機が翼のフラップや警告灯、客室内の煙などの問題で引き返した。いずれの航空機も無事に着陸した。

高い安全性評価を築き上げ、それをうたってきた同社にとって、こうした一連のトラブルはなおさら打撃となる。カンタスは一度もジェット機の死亡事故を起こしておらず、1988年に公開されたハリウッド映画「レインマン」で、ダスティン・ホフマン演じる飛行機嫌いの主人公がカンタスにしか乗らないと言い張ったことでも知られる。

それから30年余りを経て、アラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)の下での度重なる経費・人員削減で安全性の強みが失われたのか、あるいは不運な出来事が先週重なっただけなのかが重要な問題となっている。

いずれにせよ最近のトラブルで、カンタスに再び厳しい視線が注がれている。数カ月前には相次ぐ欠航や運航遅延、荷物紛失を解決したとみられていた。トラブル頻発を受け、経費削減で大きな利益を生み出してきたとされるジョイスCEOがソーシャルメディア上で再びたたかれており、辞任を求める声が再燃する可能性もある。

格安航空会社ジェットスターを含むカンタス・グループが運航途中で引き返す件数は年平均60件程度。つまり6日に1回の割合だ。しかしこの5日間には少なくとも4回そうしたトラブルが発生している。

  

今のところカンタスは豪航空当局の支持を得ている。豪民間航空安全局(CASA)は声明で、「カンタスが安全に運航していると確信しており、同社の安全管理システムを信頼している」とした。

投資家も困惑している。カンタスの株価は今月に入り約10%上昇し、3年ぶり高値近辺で取引されている。

カンタス国内線部門のアンドルー・デービッドCEOは地元ラジオに出演し、同社に問題はないと説明。「当社のパイロットは常に用心し過ぎるくらい用心するよう訓練されている。あのような状況で引き返さない航空会社の方がよほど心配だ。当社の航空機全体の健全性については、良好で健全な状態にあり極めて満足している」と語った。

原題:Qantas Mayday Call, Turnbacks Put Safety Reputation in Spotlight(抜粋)

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著者:Angus Whitley

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