「日銀は市場に負けた」と言う人の根本的な間違い 日銀の金融政策変更は「次回3月会合」が濃厚だ

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こう考えてくると、日銀は次にいつ動いてもおかしくない。

黒田総裁のスタンスは明らかだ。1月18日の記者会見における、日本経済新聞の清水功哉編集委員の最後の質問への回答でも明らかなとおり、「YCC(イールドカーブコントロール)の短期化には否定的だが、まったくあり得ないわけでもないが、10年が最も効果的だ」という説明は、つまり、状況次第では短期化がありうるということだ。

実際、10年物は国債自体が不足しているし、日銀が完全に市場をコントロールできるのは短期金利だから、3年や5年ならゼロ金利あるいは低金利を数年続けるとコミットすれば、どんなにトレーダーたちに攻撃されても、その政策を維持し続けることは可能である。オーストラリア中銀とは状況が違うから、完全にコミットすれば日銀にはできる。

日銀の弱みは、為替で追い込まれ、それが政治、世論全体の圧力となって孤立したときだ。2022年6月の「1ドル=150円」の円安局面は、だから危なかった。現在はアメリカの長期金利の低下が進んでおり、為替の仕掛けの方向として円安はやりにくい。だから、為替で追い込まれにくいのである。

「イールドカーブの期限の短期化」も

したがって、日銀はイールドカーブの期限の短期化という調整に出る可能性は十分にある。そして、それは3月の黒田東彦総裁の最後の政策決定会合でも十分ありうる。黒田総裁が「緩和継続」「利上げではない」「政策変更ではまったくない」という主張を続けることは、これまでの方針と整合性はあるからだ。

強弁は強弁だが、これまでも強弁してきているので、関係ない。むしろ、総裁が変わって短期化ということになると、どう考えても「政策変更だ」「利上げだ」という議論に反論することは難しい。むしろ、黒田総裁のときに「政策の調整はするが、利上げではない、緩和継続だ」と主張して、新しい総裁も「黒田総裁の政策を継続します」と言い続けることができる。

だから、中央銀行の行動原理と心理、批判は甘受するという気概から考えると、3月9~10日の金融政策決定会合での政策変更は十分にありうると考える。

(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースなどを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)

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