「認知症ビジネス」騙されないために知るべき事 「腸内細菌」が認知症予防のカギとなる可能性
例えば、可能性のあるメカニズムとして、一部の腸内細菌が作る短鎖脂肪酸と呼ばれる栄養素が脳に保護的に働くのではないか、腸内細菌の免疫に及ぼす影響が認知機能にも関連するのではないか、などとも考えられています。
また、これまでは小規模な研究しかなかったのですが、人間を対象にもっと大きな規模で、改めて腸内細菌と認知機能の関連について検討しようではないかという試みが最近行われました。
対象人数は約600人、いわゆる大規模研究と比べれば少数のようにも感じますが、これまでこの領域では数十人単位までの検討しかありませんでしたので、過去の研究よりははるかに多くの人を扱ったといえます。
「便中の細菌」と認知機能の関連性
取り扱う人数を増やせば増やすほど、認知機能に影響を与えそうなほかの要因の偏りを調整することが可能となり、純粋な腸内細菌と認知機能の関係の評価に近づくことができるという大きなメリットがあります。
この研究で対象となったのは、平均55歳の男女。便が採取され、便の中にいる細菌の持つ遺伝子データが解析されています。また、それぞれの人が各々認知機能の検査を受け、便中の細菌の種類や広がりと認知機能との間に相関があるかという点が評価されています。
すると、BarnesiellaやAkkermansiaと呼ばれる細菌のグループの存在と特定の認知機能の高さとの間に関連性が、また1人の人が持つ細菌の種類の豊富さと特定の認知機能の高さとの間にも関連性が指摘されました。
こういった結果から、特定の腸内細菌の存在や、腸内細菌の多様性と認知機能との間に何らかの相関があるのではないかという仮説が支持されました。
これもまだ仮説の域を超えるものではありませんが、特定の腸内細菌の存在が免疫担当細胞の働きの調整に関わり、脳内に沈着するアミロイドβ(アルツハイマー病の原因の一端を担っていると考えられているもの)を減らすことに起与しているのではないか、などといった考え方が示されています。
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