「検討おじさん」岸田氏の経済政策が空中分解の訳 ぶち上げたはいいが…新しい資本主義の現在地
しかし、自民党税調は、最終決定は12月まで待ち、2024年から2027年の間に実施されるだろうと述べた。安倍派の幹部が、2022年の増税について、岸田首相は有権者の是非を問わなかったと話した際、岸田首相は2025年の衆議院選挙後まで増税の決定はないだろうと語った。側近はこの発言を「撤回」しようとしたが、結局のところ、最終的に何が行われるかは誰にもわからないというのが実情だ。
実質賃金と生産高の連動性が低い日本
・賃金
賃金抑制、つまり消費者の購買力の弱さは、日本の経済成長を阻む主犯だ。これについて岸田首相は正しい発言をしているが、問題を改善するための行動はほとんど示していない。
健全な市場経済では、時間当たり実質賃金は時間当たり生産高の伸びと連動して伸びるはずである。この連動性はほとんどの豊かな国で崩れているが、最もひどい格差が生じているのが日本である。
1997年から2017年までの20年間で、平均的な労働者は1時間当たりのGDPを28%多く生産したが、1時間当たりの実質報酬(賃金+手当)は3%減少した。OECDによれば、ここ数年になってようやく人手不足から賃金の回復が見られるようになった(下図参照)。
しかし、厚生労働省の発表によると、景気減速により残業代やパートタイマーの労働時間が減少したため、1カ月あたりの実質賃金は減り続けている。政府は今年の労使交渉で大幅な賃上げを実現したい考えだが、欧米の景気減速を受け、日本企業は慎重な姿勢に転じそうだ。
これまでのところ、岸田首相による最も実質的な動きは、全国平均時給が1000円に達するよう、最低賃金を毎年2~3%ずつ引き上げるという2010年以来の東京都の方針を継続していることである。昨年年8月、政府は最低賃金を3.3%引き上げ、961円にした。これは、2022年に比較可能な記録が始まって以来、最大の引き上げ幅となる。
最低賃金の引き上げは、最低賃金以下の賃金だけでなく、最低賃金より10~15%高い賃金も助けるので、これは大きなインパクトがある。2014年のIMFの調査では、正規・非正規の労働者約1600万人(非管理職全体の30%)が時給1068円未満となっている。
日本が1000円の目標を達成し、さらにそれを上回れば、労働者は大きな利益を得ることになる。岸田首相は、1、2年後に1000円達成した場合の対応について、今のところ何も言っていない。
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