日産GT-R、まだまだ進化する2024年モデルの全貌 気持ちよく、速く、トータルバランスを高次元へ

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RECAROシートも新しいタイプに。カーボンファイバーのフレームがむき出しになった、いかにもレーシングカーのようなデザインが特徴だ。

横剛性が50パーセント上がっているという。ドライバーはそれによってからだがしっかり支えられ、ハンドリング操作がよりやりやすくなるとされる。

NISMOでは(ちょっとゴルフGTIを思わせる)菱形のデイタイムランニングライトが、フロントバンパーに埋め込まれた。遠くから走ってきても、すぐ判別できそうだ。

スタンダードモデルは「R35史上最高の洗練された乗り心地」がうたわれる。しなやかに路面をとらえることを目的にサスペンション設定が見直された。

一方、GT-Rの名に恥じないように、ということだろう、このモデルでも、空力性能向上が目指された。

NISMOとは形状が少々異なるが、前後バンパー、スポイラー、(小ぶりの)リアウイングの意匠を変更。おもな目的はダウンフォースの増加と、空気抵抗値の低減にある。

リアウイングは、いままでより大型化、さらに搭載位置を少し後ろに下げている。ダウンフォースの増加と、従来のモデルで(軽微ではあるものの)認められたリフト効果を抑えたそうだ。

スタンダード仕様のダウンフォース増加は、10パーセントにおよぶと、説明された。

同時に、厳しくなった新車外騒音規制に対応しつつ、迫力ある新たなGT-Rサウンドを生む新構造マフラーが、NISMOとスタンダード両モデルに搭載されている。

「これが成功しなかったら2024年モデルは発売できなかったと言ってもいい」と川口氏が会場で行われたトークショーで語っていたのも印象的だ。

ブースにはトヨタ・豊田社長の姿も

2台のGT-Rが並べられた東京オートサロン2023における日産ブースを、トヨタ自動車の豊田章男社長が訪問する場面もあった。グプタCOO、前出の川口チーフビークルエンジニア、それにこれまでGT-Rの開発にたずさわった田村宏志ブランドアンバサダーに案内されて、うれしそうに車内に乗りこむ姿を見せてくれた。

会場を訪れたひとたちのあいだでの、GT-R人気の高さはすさまじいものがある。

自分たちなりの考えでチューニングを施すことを生業とするチューナーも数多く出展。たとえば、日産ブース前に大きな展示を行っていた千葉の「TOP SECRET」も、訪問者の流れが途切れない。

GT-Rは1つの文化を作ったんだなあ、というのがウィズコロナの中で、ようやく熱気が戻ってきた東京オートサロン2023の会場で見た象徴的な光景の感想だった。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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