米国が喜ぶ岸田首相の「安倍化」加速している事情 日本の新たな安全保障・防衛戦略が示すこと
沖縄に拠点を置く第三海兵遠征軍司令官のジェームズ・ビアマン中将も、『フィナンシャル・タイムズ』紙(1月9日付)に対して台湾をめぐる中国との戦争など、この地域で起こりうる紛争に備えた作戦に関する具体的な議論が静かに進行していると語っている。同中将は、日米の軍事プランナーはこの種の作戦計画は、この1年で「指数関数的に増加している」と明言。これはウクライナ戦争の教訓に基づくものだと説明した。
「なぜわれわれがウクライナでこれほどの成功を収めることができたのか」 とビアマン中将は語った。「その大きな理由は、2014年と2015年のロシアの侵略の後、将来の紛争に備えるために真剣に取り組んだからだ。ウクライナ人のための訓練、物資の事前配置、支援活動や作戦を維持するための拠点の特定などで、私たちはこれを『セッティング・ザ・シアター』と呼んでいる。同じことを日本でやろうとしている」。
日本が防衛戦略で示した強い危機感
新たな国家安全保障戦略と防衛戦略は、こうした考え方を反映している。防衛戦略では、ロシアの侵攻が国際秩序に対する重大な挑戦であり、日本が自衛能力を持つ必要性があることを強調している。そして、ロシアの例をより身近な脅威、特に中国や北朝鮮の脅威と結びつけている。
「我が国を含む国際社会は、今、ロシアによるウクライナ侵略が示すように、深刻な挑戦を受け、新たな危機に突入している」と、防衛戦略の冒頭で宣言している。「今後、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいて、戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性が排除されない」。
同戦略では、日本が安易な標的とならないよう、また同盟国からの支援を信頼できるよう、自国の防衛力を高める必要性を強調している。
「国際連合安全保障理事会常任理事国であるロシアがウクライナへの侵略を行った事実は、自らの主権と独立の維持は我が国自身の主体的、自主的な努力があって初めて実現するものであり、他国の侵略を招かないためには自らが果たし得る役割の拡大が重要であることを教えている」と、文書は平然と述べている。
日本の防衛担当者は、ウクライナから明確な教訓を得て、新しい政策を推進しようとしているのだ。
「ロシアがウクライナを侵略するに至った軍事的な背景としては、ウクライナのロシアに対する防衛力が十分ではなく、ロシアによる侵略を思いとどまらせ、抑止できなかった、つまり、十分な能力を保有していなかったことにある。 また、どの国も一国では自国の安全を守ることはできない中、外部からの侵攻を抑止するためには、共同して侵攻に対処する意思と能力を持つ同盟国との協力の重要性が再認識されている」
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