まだまだある“奇妙な漢字"「魚が4つの読みは?」 「井戸の中に石」「門+人」など、考えてみよう

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ぎょう

魚部33画(44) 音:ギョウ・ゴウ 意味:魚が盛んなさま

これは誰でも「ギョギョギョギョ!」と読んでしまうだろう。しかし、魚を4匹も集めたのだから、意味は「魚が盛んなさま」でなければならない。

さ

止部6画(9) 音:サ・スイ 意味:疑う

これは「惢」 の俗字である。「疑う」という意味だ。心が3つ集まっているから「疑う」という意味になるという。しかし逆に、3つ集まるから「信じる」という意味にはならないのだろうか。少し寂しくなる漢字である。

今から4000年ほど前に黄河流域に甲骨文字が出現して以来、おびただしい数の漢字が地球上にあふれました。なかには普段あまり見かけることはない、奇妙な漢字が多数存在します。なぜそういった漢字が存在するのでしょうか。次のような理由が考えられます。

奇妙な漢字が存在する理由

(1)辞書の編纂者のコレクター欲

現在、もっとも多くの漢字を収録している辞典は中国の『中華字海』だといわれています。これには8万5568もの親字が掲載されていますが、実はほとんどが実際に使われた形跡のない「死字」なのです。

(2)個人が勝手に作った漢字がある

個人が勝手に作った漢字でも、それらがたまたま何かの書物に載ってしまうと、なかなか無視できない存在になってしまいます。

(3)方言漢字の存在

ある地域でしか使われない漢字があります。

(4)異体字の存在

『奇妙な漢字』(ポプラ社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

漢字には正字のほかに、俗字、誤字、譌か字(間違った字)などと称する異体字があり、それらを取り上げていくと膨大なものになります。

(5)忘れられた個人や地名の漢字がある

(6)見慣れないものは変に見える

最後に大前提を述べておきましょう。それは「見慣れないものは奇妙に見える」という単純な事実です。考えてみたら、漢字のことをまったく知らない人々から見たら、すべての漢字は奇怪で不気味に見えるに違いありません。奇妙とか珍しいという感覚は、ほとんどにおいては、ただの不慣れから来ているのです。

杉岡 幸徳 作家

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すぎおか こうとく / Kotoku Sugioka

兵庫県生まれ。東京外国語大学卒業。異端なもの、アウトサイダーなものを深く愛し、執筆活動を続けている。著作に『世界奇食大全 増補版』『世界の性習俗』『大人の探険 奇祭』など。ホームページはhttp://sugikoto.com

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