高級ブランド店で見た「とんでもクレーム」の衝撃 過度なクレームは「高所得者に多い」という事実

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渋谷西武百貨店の店長を経て、1992年に当時アジアで最も大きかった横浜元町の直営店店長になります。

1994年に東日本のエリアマネージャー、リペアーサービスの統括マネージャーを経て2001年から約10年間、顧客対応をするカスタマーサービス担当になりました。

何年も前に買った商品「新品と交換してほしい」

――顧客対応ではどんな仕事をしたのでしょうか。

私がルイ・ヴィトンにいたのは2014年までなので、それ以前の話だと思って聞いていただければと思います。

2001年、日本独自の取り組みとしてコールセンターが立ち上がりました。

当時、店舗では接客のため電話に出られないことが多かったのですが、在庫や店舗の場所などの問い合わせに対応することで、サービスの向上につながりました。日本の取り組みに習い、その後パリでもコールセンターが開設されました。

――ラグジュアリーブランドに共通するクレームの特徴は何でしょうか。

大きく2つあります。1つは接客サービスに対するクレーム。もう1つは商品に対するクレームです。当時は転売に関連したクレームもありました。

――転売に関するどんなクレームがあったのですか。

例えば、何年も前に買った商品なのに「ほとんど使っていないから新しいものと交換してほしい」という要求ですね。持ってきた商品が新しいか古いかは一目見ると分かります。海外で大量の商品を購入し、日本に帰国後、例えば50万円の商品を当時5万円の人気商品10点と交換してほしいと言われたこともありました。

こうしたケースは転売目的がほとんどだと思います。他にも限定品の発売日に前夜から並んで大量に買い、2倍、3倍の値段で転売するケースもあります。お客さまから「本来買いたい人が買えないのではないか」というご意見をいただいたこともあります。

――転売以外のクレームにはどういったものがあるのですか。

消費者金融で資金繰りに困った人が名義貸しをしたクレジットカードを使い、第三者がカードで買い物をするケースです。例えば、買った商品にわざと傷をつけて「傷がついていたから現金で返金してほしい」と要求されたこともあります。

企業としてはできること、できないことを明確に何度も伝え、それでも納得していただけない場合は、弁護士に対応を依頼します。

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