高級ブランド店で見た「とんでもクレーム」の衝撃 過度なクレームは「高所得者に多い」という事実
正直、ハードなクレームで体調やメンタルを崩したこともありますよ。ただ、弁護士のサポートのおかげもあり、大きなトラブルに発展することはありませんでした。
ブランド品は顧客1人あたりの購入単価が高く、顧客を1人失うことは大きな痛手です。それでもできること、できないことを伝え、ご理解をいただくよう努力することはブランドの価値を守るためにも重要です。
――ルイ・ヴィトンの商品を買えるような所得の高い方のクレームは多いということでしょうか。
2017年、UAゼンセンの調査報告でもありますが、過度なクレームは高所得者に多く見られるんですよ。ブランドのエスプリに共感して製品に愛情を持っていただけることは本当にありがたいことです。ただ、お客様の方にも、高額な商品を購入するのだからそれ相応のサービスを受けても当たり前だという期待と気持ちはあると思います。
最終的には法制化が必要
――近藤さんはルイ・ヴィトンを退職した2015年、業界を超えてカスハラ対策について考える日本対応進化研究会を立ち上げます。
すべての業界でクレーム対応にあたる人たちを守る法律をつくることが目的です。さまざまな業界の顧客対応の担当者たちと定期的に集まり、クレームの定義づけや、クレーム対応についてまとめました。それが書籍『グレークレームを“ありがとう!”に変える応対術』(日本経済新聞出版)です。お客さまと企業が良好な関係を築くのに役に立つ話法を伝えたいという思いがあります。
また2022年8月、消費者関連専門家会議が『現場責任者のための「悪質クレーム」対応実務ハンドブック~カスタマーハラスメント対策の手引き~』(PHP研究所)を出しました。私もサブリーダーとして執筆のお手伝いをさせていただいています。
世界的に見ても日本人のクレームはハードで、一線を越えたクレームに現場は疲弊しきっています。カスハラ対策として法制化が進めば「お客様は神様」という発想は変わっていくと思います。カスタマーハラスメントから従業員を守るため、企業が「悪質クレーム」対応を法的に捉える視点になることを願います。
(ライター・国分瑠衣子)
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