“異次元の少子化対策"過去の的外れを脱せるか 生涯未婚、低賃金、高い住居費…与野党幹部が議論
新藤義孝氏(自民党政調会長代行、元総務相):直近の合計特殊出生率は1.36だが、人口を安定的に維持できる「人口置換水準」は2.06だ。問題は、置換水準を達成したとしても実際に人口減少が止まって横ばいになるまでには60年かかる。仮に(出生率を)今後10年で0.3ポイント、20年かけて0.6ポイント上げて2%に近づけて、2040年に置換水準を達成できたとして、そこから実際に60年経って人口が減るのが止まるわけだ。要するに私たちは100年後の未来をプログラムされている。だからこそ一刻も早くやらなければならない。子どもを育てるためにただ資金的な、経済的な支援をするだけで果たして子どもを産むモチベーション(になるか、それは)、ひとつではあるが、やはり総合的な対策が必要だ。
親と世帯を分離して結婚すると生活レベルが下がる
長妻昭氏(立憲民主党政調会長、元厚労相):対GDP(国内総生産)比で、日本の子育て予算は欧州の半分くらいしかない。これをハンガリー(の施策)も見習って徹底的に増やしてもらう。日本の少子化対策の方向性が的外れなのは原因をきちんと分析していないから。50年前、結婚したカップルが子どもを産む数は平均で2.22人だった。今は1.9人だ。減ってはいるが、ほとんど減っていない。つまり何が問題かというと生涯未婚率だ。50歳時の男性の生涯未婚率は3割。3割まで増えるのはもう少し先だと言われていたが、今の時点で3割になってしまった。人口問題研究所と議論して驚いたが、日本では30代独身男性の7割が親と同居している。30代独身女性も77%が親と同居している。親と同居しているということは家賃がかからない。そうした人たちがカップルとなり結婚するとなると、住居費が非常にバカ高い。先進国で一番高いから。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):新しく居を構えるとなるとハードルが高い。
長妻氏:そうだ。賃貸でも持ち家でも(家賃や価格が)バカ高い。あるいは賃金が非常に安い。つまり親と世帯を分離して結婚すると確実に生活レベルが下がる。そういう状況ではなかなか(結婚)できない。(少子化を)解決するにはその視点が重要だ。1つは住宅。持ち家比率が高い国ほど出生率が上がらないと言われている。日本は持ち家政策至上主義で若い人は家を持てない。良質な賃貸物件をたくさん増やしていく(ことが必要だ)。特に若い人をターゲットに実質賃金を上げていく(ことも必要)。もう1つは人権。人権教育が日本は非常に少ない。働き方を含めて自分の権利なのだと声を上げてもらう。選択の自由を確保するような政策を促していく。そのような視点が欠落している。もちろん結婚したくない人に強制することはしない。アンケートをとると、結婚したいという人は相当多い。でも、それが実現できない。その壁を取り除くことにも相当力を入れてもらいたい。これからも提言をしていきたい。