外国人投資家が日本株を買うための条件とは何か 2023年の株式相場の重要ポイントはここにある
現在のところ「今年の春闘の目標は5%」などと報じられているが、筆者は一部の大企業を中心に、経営者側がそれを上回る努力目標を出していることに驚いている。岸田文雄首相が物価上昇を上回る賃金上昇を経営者に呼びかけたのは周知のとおりだが、多くの海外投資家はこの推移を見守っている。
賃金上昇が進めば、早めに調整終了の期待も
厚生労働省が6日に発表した昨年11月の毎月勤労統計調査によると、従業員5人以上の事業所の1人当たり実質賃金は前年同月比3.8%減となっている。
一方、11月の全国コアCPI(消費者物価指数)は前年同月比+3.7%と同10月の同3.6%を上回り、1981年12月以来、40年11カ月ぶりの上昇率だった。
今週10日には、12月の東京都区部消費者物価指数の発表がある。11月の前年同月比+3.6%からさらに上昇するとの見方が有力で、場合によっては上昇に加速度が加わる可能性もあり、賃上げは待ったなしの状況だ。
こうした状況下、メディア上では春闘の結果を待たずして結論が出されるだろう。もし賃上げが失敗に終われば、海外ファンドの売りによる日経平均の予想外の安値が出ることも考えられる。その意味でも、政府、経営者の強い姿勢を望む。
逆に「物価上昇を上回る賃金上昇」(岸田首相)が見えてくれば、新年初頭の市場のコンセンサスである「前半調整」は早めに終わり、弱気筋が唱える3~5月安などではなく、「前半5月高」になる可能性も十分あるとみている。
一方、「後半高」に関しては、これから徐々に読み解かれようが、アメリカの各連銀総裁が年頭コメントを出しているように、利上げプロセスが終了したあとも当面は高水準の金利を維持すべきだろう。
だが、株や国債が急落すると最も困るのは、国の中央銀行なのだ。金融政策の目的は、適度な物価上昇で安定した経済成長と労働市場を確保することで、それらを破壊することではない。
アメリカの連銀関係者がことあるごとに安易な楽観論を戒めているのは、「株式市場の暴騰・暴落で当局のソフトランディング戦略を妨害するな」という忠告だと解する。
12月の雇用統計という第1関門は無事通過したが、今週の予定を見ると、やはり12日のアメリカ12月消費者物価の発表に注目だ。11月は前年同月比+7.1%と5カ月連続で前月比の上昇率は鈍化しているが、コアCPIは同+6.0%とまだ高い。
一方、日本では、安川電機(10日)をはじめとする、2022年3~11月期の決算発表が本格化する。しっかりと見極めて冷静に対応しさえすれば、2023年の投資成果はおのずと上がってこよう。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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