「下+心」は下心じゃない!“奇妙な漢字"を紹介 「馬+鹿」「雲+龍」「エが4つ」はどう読めば?

拡大
縮小
ろく

馬部11画(21) 音:ロク 意味:「騀騼」で「野馬」の意味

「馬」に「鹿」ときたら、善良な日本人なら誰でも「バカ」と読んでしまうだろう。しかし、残念ながら読み方は「ロク」である。この字を用いた「騀騼」(がろく)という熟語は、「野馬」、つまり野生の馬のことを指す。

びた

金部12画(20) 音:ア 訓:びた 意味:質の悪い銭

「金」が「惡(わる)」いで「びた」と読む。「鐚一文やるもんか」などというときに使う。「鐚」とは、もともと室町時代から江戸時代にかけて流通した、私鋳された粗悪な銭のことを指す。

奇妙な漢字が存在する理由

今から4000年ほど前に黄河流域に甲骨文字が出現して以来、おびただしい数の漢字が地球上にあふれました。なかには普段あまり見かけることはない、奇妙な漢字が多数存在します。なぜそういった漢字が存在するのでしょうか。次のような理由が考えられます。

(1)辞書の編纂者のコレクター欲

現在、もっとも多くの漢字を収録している辞典は中国の『中華字海』だといわれています。これには8万5568もの親字が掲載されていますが、実はほとんどが実際に使われた形跡のない「死字」なのです。

(2)個人が勝手に作った漢字がある

個人が勝手に作った漢字でも、それらがたまたま何かの書物に載ってしまうと、なかなか無視できない存在になってしまいます。

(3)方言漢字の存在

ある地域でしか使われない漢字があります。

(4)異体字の存在

『奇妙な漢字』(ポプラ社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

漢字には正字のほかに、俗字、誤字、譌か字(間違った字)などと称する異体字があり、それらを取り上げていくと膨大なものになります。

(5)忘れられた個人や地名の漢字がある

(6)見慣れないものは変に見える

最後に大前提を述べておきましょう。それは「見慣れないものは奇妙に見える」という単純な事実です。考えてみたら、漢字のことをまったく知らない人々から見たら、すべての漢字は奇怪で不気味に見えるに違いありません。奇妙とか珍しいという感覚は、ほとんどにおいては、ただの不慣れから来ているのです。

杉岡 幸徳 作家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

すぎおか こうとく / Kotoku Sugioka

兵庫県生まれ。東京外国語大学卒業。異端なもの、アウトサイダーなものを深く愛し、執筆活動を続けている。著作に『世界奇食大全 増補版』『世界の性習俗』『大人の探険 奇祭』など。ホームページはhttp://sugikoto.com

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT