上からは叱責、下からは軽視「中間管理職の悲哀」 1人でも部下がいる人必須「部下育て」の思考

✎ 1〜 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 最新
拡大
縮小

「この名称変更は、象徴的意味が大きかったことは事実です。でも、それだけではありません。ピープル・リーダーたちのコミュニティーを育むことも始めたのです。この役職の役割を明確化させたうえ、能力認定の仕組みを設けることにより、その重要性を周知しました。その結果、今では社内にピープル・リーダーのコミュニティーが形づくられています。

たとえば、今朝もCEOのビル・ウィンターズとピープル・リーダーたちの電話会議を行ったばかりです。取り組まなくてはならない課題は非常に高度なもので、大きな学びの機会になることは間違いありません。私たちは、ピープル・リーダーたちのことをコーチ、能力を持った人たちを束ねる存在、そして組織文化の担い手と位置づけています」

自分の出世よりチームの成長を優先する

ダイアン・ガーソンは2013~2020年に、ジニ・ロメッティCEOの下でIBMの最高人事責任者を務めた。ガーソンと私は2021年3月におこなったHSMアドバイザリーのウェブセミナーで、マネジャーを取り巻く問題について議論した。

新型コロナのパンデミックでは特に、マネジャーたちが過酷な状況に置かれたが、一方で目覚ましい仕事ぶりを見せたマネジャーも少なからずいた。

ガーソンと私が到達した結論によれば、優れたマネジャーは4つの重要な思考様式の転換を遂げている。

第1は、旧来のピラミッド型組織的でマネジャー主導の発想「私が成功を収めるのを助けるためにチームがある」を脱却し、もっとチーム志向の思考様式「チームを成功させるのが私の役割だ」に転換していること。よいマネジャーは、さまざまな形でこのような精神を実践している。メンバーの職場へのエンゲージメントとモチベーションとスキルを高めるよう後押ししたり、メンバーへのコーチングとフィードバックに力を入れたり、メンバーを支援し、誰も排除しない職場環境をつくったりしている。

次ページ実践された「ペイ・フォワード」の精神
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT