羽生結弦選手「日の丸マスク」の正体とは? 愛知県のメーカーが手作りで生産

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「くればぁ」の工場内の様子。高機能マスクは手作りしている

繊維技術を生かして、表面に静電気を発生させない独自加工などを施したマスクは、新型ウイルス対策にも有効だという。昨年は西アフリカで流行したエボラ出血熱の感染予防のため、約1万枚のマスクをアフリカ諸国に無償提供。ギニア大使から感謝状が贈られた。

昨秋、こうした話を聞きつけたスポーツ関係者から「花粉症に悩む選手のためにマスクを作ってほしい」と依頼を受け、新たな商品開発に着手。花粉症を研究する埼玉大学の研究者の協力を得て、60ナノメートルという微小な花粉アレルゲンを99%シャットアウトしながら、独自の形状や素材で息苦しさを感じさせず、100回ほど洗って再利用できる新商品を作り上げた。

「応援のメッセージとして日の丸を付けた」

「くればぁ」の中河原毅専務

価格は従来品と同程度の1枚9000円前後に設定、一般発売日を3月29日に決めた上で、依頼したスポーツ関係者に数十個を先行販売していた。中河原専務は「特に誰と聞いていたわけではないが、日本を代表するプロアスリートにも使ってもらい、それをみんなで応援しようというメッセージを込め、社名とともに日の丸を付けた」。その1つが羽生選手の手に渡るとは、思いもよらなかったと話す。

重度の花粉症という話もある羽生選手だが、なぜあのマスクを選び、どう使っていたか、詳しくは分からない。ただ、「テレビで見る限り、何度も洗って使ってくれているようだ」と中河原専務は見る。同社がスポンサーというわけではないので、あくまで個人の判断のはず。しかし、問題はあの「日の丸」だった。見ようによっては、「日本代表」の公式的なグッズだと思われてしまう。

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