岸田首相「秋葉氏、杉田氏更迭」もさらに危機続く訳 止まらぬ「辞任ドミノ」、閣僚辞任はすでに4人目

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辞表を受理された秋葉氏は、その後記者団に「来年の通常国会を控えている今、当初予算の審議だとか、法案の審議を停滞させてはならない。このことを第一に考え、重い決断ではあるが、辞表を提出してきた」と語った。

秋葉氏は当選7回で、昨年の衆院選では宮城2区から立候補し、比例区で復活当選した。所属派閥は茂木派で、第2次安倍政権では厚生労働副大臣兼復興副大臣、首相補佐官などを務めた。

後任の渡辺氏は衆院千葉6区選出の当選8回で、秋葉氏と同じ茂木派所属。安倍内閣で復興相を務めたことから、「経験者としての実績と安定感を買われての再登板」(官邸筋)とみられている。

一方、数々の「差別発言」などで野党の標的になってきた杉田氏。辞表を受理した松本剛明総務相は総務省内での記者団の取材に対し、「(杉田氏は)政府の一員として迷惑をかけてはいけないと考え、判断したという報告だった。本人の決断を受け止めた」と説明。杉田氏も記者団に「2022年度第2次補正予算が成立し、年末の節目というタイミングで辞表を提出した」と語った。

人事戦略狂わせた薗浦氏の議員辞職

今回の人事に至る経過を検証すると、12月10日の臨時国会閉幕後の政治日程との複雑な絡みが浮かび上がってくる。岸田首相サイドによると「当初は来年度予算案編成直後に一定規模の人事断行を模索した」(側近)とされる。

しかし、12月に入って、麻生太郎副総裁の最側近で将来も嘱望されていた薗浦健太郎衆院議員が、関連政治団体が政治資金パーティーの収入を4000万円ほど少なく収支報告書に記載した問題が発覚。東京地検特捜部の捜査対象となった薗浦氏は、略式起訴(罰金)に先行する形で12月21日、議員辞職(自民も離党)した。

これにより改めて「政治とカネ」の問題が深刻化する一方、岸田首相の人事断行方針も挫折。結果的に「対症療法の人事」を余儀なくされたのが実態とみられる。

そもそも岸田首相は臨時国会閉幕に合わせて、年明け早々から次期通常国会召集までの間に、政権浮揚も狙った首脳外交の日程を本格検討した。その結果、宮内庁との事前調整も含めて一定規模の人事断行のための日程確保が困難となったとされる。

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